外国の法律で作った会社が日本で初年度に消費税の還付を受ける場合に注意することがあります。 通常、日本の新設会社が不動産などを買って消費税の還付を受けれるかどうかは、その会社の資本金が1000万円以上であるかどうかで異なります。 資本金が1000万円以上であれば初年度から自動的に納税義務者となるので、特に手続きは必要ありません。あとは、買った不動産が居住用でなく、事務所などの事業用に賃貸をする予定であれば普通に還付の対象となります。 他方、資本金が1000万円に満たない場合は、何もしないと既定では免税です。免税と言うのは消費税の申告をして消費税を払う必要がないという事ですが、逆をいうと還付を受けたくても申告自体を受け付けてもらえないという事でもあります。 消費税の還付を受けるためには、「課税事業者」になることをあえて選択する必要があります。そのためには届出を提出する必要があるのですが、これを「課税事業者選択届出書」と言います。これを最初の設立の年度の最終日までに提出しないと、初年度も2年目も免税事業者になってしまいます。 次に、3年目以降は2年前の売上が、1000万円を超えているかどうかで判定します。つまり3年目は初年度の、4年目は2年目の課税売上高が1000万円を超えているかで決まります。 外国会社の場合も、基本は同じです。そうすると最初の2年は資本金で判定し、3年目からは会社が課税事業者になるか免税事業者になるかは、2年前の課税売上(基準年度の課税売上)が1000万円を超えているかどうかで判定するのが原則です。 しかし、外国法人が日本で支店を設立する場合には、既に本国で設立してから何年か経過していることが多いと思います。そうすると、日本における売り上げは無かったのが普通ですので、例え資本金の大きな会社でも通常は免税事業者になります。したがって、不動産を買っても課税事業者になれないので消費税の還付を受けられないとも思われますが、実は特別な規定があり大丈夫です。 外国会社は日本支店を設立した時に課税事業者を選択すれば、その年から課税事業者になれるのです。この課税事業者の選択届は、その外国法人の本店における会計期間の末日までに出せばいいことになっています。
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認可保育園の消費税は免税になります。では、認可「外」保育園の消費税はどうでしょうか。 答えは、非課税になります。国税庁のホームページには、以下のようにあります。 「都道府県知事の認可を受けていない保育施設(以下「認可外保育施設」といいます。)のうち、一定の基準(認可外保育施設指導監督基準)を満たすもので都道府県知事等からその基準を満たす旨の証明書の交付を受けた施設及び幼稚園併設型認可外保育施設の利用料については、児童福祉法の規定に基づく認可を受けて設置された保育所(以下「保育所」といいます。)の保育料と同様に非課税とされます。」 国税庁HP 次に法人税ですが、これも一般社団法人を設立して、非課税になりうります。一般社団法人は株式会社とことなり、非営利型の組織運営が出来ます。その場合、通常の収益事業には法人税がかかるのですが、収益事業と非収益事業にわけて、非収益事業には法人税が課されません。 国税庁のHPにも、認可外保育園でも法人税が非課税となる旨の以下のような記載があります。 「その認可外保育施設が証明施設であり、監督基準に従って運営されている場合には、照会者の見解どおりで(収益事業に該当しないとして取り扱って)差し支えありません。」 国税庁HP 一般社団法人は、株式会社や合同会社と同様に通常の事業も行えるので、認可外保育をやるのであれば一般社団法人の形式を考えておくのも損がないとは思います。
以前にあった判例のようですが、ロシアの方が日本で中古車を買い付けて、新潟から輸出していたそうです。その際に、輸出免税の適用をうけて、消費税の還付を受けようとしたのですが、税務署から認められませんでした。 理由は、買い付けが国内で行われていたので、輸出免税に当たらないからとのことでした。 輸出免税は、あくまで輸出取引に対して適用されます。国内取引には適用されないのです。 国内の個人事業者などが、海外の大手企業の依頼を受けて、国内の資産を買い付けて輸出することあります。例えば、コイや絵画の買い付けであったり、大きな機械だったりします。 この場合に注意が必要なのは、保険やシッピングの手続きを、自分でやるような取引条件になっているかどうかです。よくある失敗例は、買い付けた後に、その海外の大手企業の手配した運送業者が品物を取りにきたり、保険をかけたりすることです。 これは、その運送業者に引き渡した時点が、危険負担が移転する時点とみられてしまうので、国内取引になってしまいます。そうすると、買い付けをした事業者は、消費税の還付を受けるどころか、多額の消費税の納税をしなくてはならなくなってしまいますので、生き死にの問題になってしまいます。 インコタームスでは、危険負担が移転する時点の順番で以下のような貿易条件が定型的に定められています。 EX-WORKS ↓ FOB ↓ CIF ↓ DAPなどの「D」で始まる取引類型 それぞれ順番に、EX-WORKSは「工場渡し」の略で、要は輸出先が、こちらの国内の工場まで取りに来てくれる取引です。 FOBはFree On Boardの略で船に積むところまでが売り主の責任で、そこで買主に危険負担が移ります。CIFはCost, Insurance and Freightの略で、荷物が買主の国の港につく所で危険と所有権が移転します。 この場合に、日本の消費税法で輸出取引と考えられているのは、FOBとCIFだけです。EX-WORKSは国内で危険と所有権が移転するので、輸出取引にはなりません。 Dで始まる取引類型は、買主の国内の、買主の所定の場所で引き渡しを行います。完ぺきに、先方の国の国内取引です。むしろ、買主の国の消費税を通関の際に売り主が負担するので、これを回収できるかが問題になると思います。 誰が手配した運送業者や保険であるかはもちろん大事なのですが、誰がその運賃や保険料を負担するかが、税務調査の事実認定の段階では重要です。 また、輸出免税を受ける際に輸出許可証があることが還付を受けるための要件の一つになっていますが、ここに先のインコタームスの取引条件が同記載されているかが重要です。実際はこちらが運賃や費用を負担しているのに、そこにEX-WORKSと書いてあると、事実認定の場面では極めて不利になります(事実関係が売り主の負担であれば、絶対に輸出免税が認められないと言う訳ではありませんので、そこは、関係資料を提出して、丁寧に説明して、当局に納得してもらう事が重要です。あくまでも、腹を立ててブチ切れたりしないように。税務署と関係が悪くなって良いことは一つもありません。) *************************************************** ついにH28年も後半に入りました。冬は忙しすぎて時間がほとんど取れないので、夏はゆっくり遊んだり勉強したりしたいと思います。 この漫画は人気のブログに掲載されているものらしいのですが、ほのぼのした感じがあり、また、介護についての日常がよくわかり、面白いです。「スーパー嫁の汗と笑いの在宅介護」
最近、質問されたので、まとめておきたいと思います。 まず、輸出免税の適用があるかないかの判定基準ですが、物の売買と役務の提供で判定の基準が若干異なります。(1)物の場合は物が物理的に輸出されるかどうか、(2)サービスの場合は、非居住者のお客様に日本支店(恒久的施設)がある場合などの例外を除いて、輸出取引になります。 売買の場合は、「物」の売買契約取引になるので、(1)の基準、つまり、お客様が居住者か非居住者かではなく、物が輸出されたかどうかで判定されます。 つまり、非居住者のお客様でも、物の引き渡し場所が国内であれば、国内取引になりますので、消費税はかかります。 逆に、お客様が居住者でも、引き渡し場所が国外であれば輸出取引になります。この時の輸出免税の対象とするためには、輸出者名義の輸出許可証が必要になり、取引条件はCIFもしくはFOBとすることが必要です(EX-WORKSは国内渡しになるので不可です)。 役務提供の場合は、お客様が居住者か非居住者かどうかで判定されることになります。 非居住者のお客様に対するサービスであれば、サービス自体が国内で提供されていても、輸出取引になります。消費税はかかりません。 逆に、お客様が居住者であれば、役務が国外でされた場合(例:国外における通訳業務、観光サービスなど)は、そもそも、国外取引となるので消費税はかかりません。 (田植えの前の田んぼ)
よく個人事業の方に誤解されているのが、個人事業者が消費税を請求できるかということです。 消費税法で個人事業主は最初の2年は消費税が免除されています。また、それ以後は、各年度の2年前の売上が1000万円を超えない場合には、その年も免税になります。つまり、消費税を申告して納める必要がないのです。 これを発注する側の企業も良く知っているので、たまに、「売上が1000万以下の個人事業者は消費税を納めないはずだ、だから、うちにも請求するのはおかしい。請求するな。」みたいなことを言ってくることがあるようです。 言われる個人事業主の側も、仕事をもらう立場で立場が弱いので、正直に自分の売上は1000万円未満なので、消費税は結構です。なんて言ってしまう場合があるようです。言う方も言う方なのですが。 ちなみに現行のルールでは、個人事業主に限らずですが、仕事を受ける側は別に自分の売上が1000万未満であるかどうかを、言う必要はありません。なので、自分が課税事業者であるかどうかにかかわらず、請求書に消費税を乗せることは問題ありません。また、支払う側は支払った消費税は、通常、国から返してもらうので、損をさせていることもありません。消費税を載せて請求しなくても、その金額自体が税込として計算されるので、結局値引きをしているのと同じことになります。 例えば、100万円の請求書に消費税をのせなかったところで、支払う側では、自動的に92万円ちょっとと、8万円弱の消費税を払ったかの様に自動的に計算されてしまうので、払う側が8万円程得してしまうのです。 ***************************************************** 最近、Xiaomiのmiband活動量計を買いました。Amazonで約3000円くらいでしたが、値段相応で十分満足しています。一日の歩行数はもちろんなのですが、眠りが深いか浅いかも記録されてます。自分の眠りが深いか浅いかはこう言う機械がないと知るすべがなかったので面白いですが、でも、これはどうフィードバックを活かして使うのだろう?
今年の10月1日からアマゾンやグーグルなどのネット経由のサービス(以下、「ネットサービス」)の取り扱いが変わりました。日本の消費税法では、取引が国外取引だったら日本の消費税はかからないので、ネットサービスが国内か国外かの区別が重要になります。 今までは、国の外から日本国内に対して提供されるネットサービスは国外取引とされていましたので、払う方は消費税がかからない取引として処理してきましたし、サービスを提供する側は日本の税務署に消費税を申告していませんでした。 今後は、これが変わります。今までは、どこにネットサービスの提供者がいるかで判断されてきましたが、今後は、ネットサービスの提供を受ける者の場所で判断することになりました。 そして、BtoBタイプのネットサービスとBtoCタイプで消費税の納付の仕方は異なります。。BtoCのタイプというのはamazon kindleやiTuneなどのコンテンツ提供型のものです。BtoBはGoogleやLinkedInなどの広告サービスがあります。 BtoBのタイプの場合は(Googleの広告サービスなど)、サービスを受ける側が日本で消費税を払うリバースチャージという方法に変わります。 BtoBのサービスを利用する場合に、課税売上割合が95%以上の会社の場合は、無視していいので、今までの処理の仕方と変わりませんが、住宅の賃貸収入があったり、土地や有価証券の売買金額がある会社は課税売上が95%未満になっている可能性があり、その場合は、リバースチャージという海外のネット経由サービスを提供する会社の代わりに消費税を納付する方法を取らなくてはいけないので注意が必要です。 BtoCのタイプの場合には、海外からコンテンツを配信している会社は、、今年度から、国内における売上には消費税の納税義務があることになります。また、私も勘違いしていたのですが、今までの課税事業者になるかどうかの判定方法である、2年前の課税売上が1000万円を超えていたかどうかが、ネット経由のサービスにおいては修正されていて、2年前の国内消費者に提供されたネットサービスは課税売上であったという前提を新たに置いて判定することになります。つまり、2年前に課税売上は無かったという理屈は通じなくなり、今年の10月の売上分から消費税の納税義務が発生します。 気を付けないと実務家たる税理士もうっかりしている場合があるので、会社の側でも注意が必要です。
H27年の改正で、電子書籍や音楽、広告などのインターネットを介して行われる役務の提供が「電気通信利用役務の提供」と定義されることになり、消費税の課税の仕方も大きく変わるようです。実際の適用はH27年の10月1日からなので、まだ少しは時間がありますが、対策が必要です。私も最近までよくわかっていなかったのですが、とりあえず、簡単にまとめてみました。 例えば、私のお客様にオンラインの広告事業を行う会社がありますが、この会社は、非居住者のお客様(メーカー等)のために日本で広告をインターネットで配信します。今までは、役務の提供をする者の所在地で、国内取引か国外取引かを判定していましたが、10月1日からは役務の提供を受ける者の所在地で判定することになるようです。 そうすると、今まで非居住者のお客様に対して、日本で広告を提供していた事業は国内取引(輸出免税)として処理していましたが、今後は、国外取引(不課税)ということになるのでしょうか?広告の場合は、役務の提供を受けるもの(広告主)と、広告を配信される方(消費者)が異なるので、単純に国外取引としていいのかは疑問が残るところです。 消費税がかからないという点では、輸出免税も不課税も同じなのですが、輸出免税は課税売上割合や課税事業者の判定をする時の課税売上にはカウントするので、多少影響は出そうです。 また、「リバースチャージ方式」というものも始まるようです。しかし、リバースチャージ方式は、経過措置により、課税売上割合が95%未満である場合にのみ適用されるようですので、住宅用の不動産と投資・運営する会社など以外ではあまり問題になることは、なさそうです。 ************************************************************* 6/16 税法はどんどん変わるので、知識をアップデートしていかないと、いつの間にか置いていかれてしまいます。知識をアップデートする意味でも、ブログを書くと、一応そのトピックについて調べるので、勉強にはなります。ある程度の規模がある事務所だと、税法改正などをきちんと押さえる仕組みがあるのでしょうが、小さな事務所だと、自分が主体的にやっていかないととてもじゃないけど、置いていかれてしまいます。うちの事務所も週1くらいで定期的な勉強会をやろうかな。。
先日、随分大きな調整対象固定資産のケースに関係しました。 調整対象固定資産というのは、自動販売機を設定して初年度に課税売上を上げつつ、アパートを建設して消費税を多額に還付してもらうという、昔可能だったあれです。 実際のケースを多少アレンジはしていますが、ざっくりいうと、初年度に10億の事業用ビルを買って、2年目にまた10億のビルを買って、3年目に20億で居住用マンションを買うと言うケースでした。これが、税理士として不用意に助言をしてしまうと、大変なことになってしまうケースでした。 今回のケースでは、3年目に居住用のマンションを買っても、調整対象固定資産の要件は充たさなそうだったのですが、今後追加で、居住用の物件を買っていくと、もしかしたら、要件を充たす可能性がありました。 要件を充たすと、以前に課税売上割合が95%以上で、取得した建物の消費税が全額控除が可能だった事業年度還付消費税を、来期以降に納付する必要がありますが、これが大変な金額になる可能性がありました。ざっくりですが、東京都内の事業用ビルの取得価額は土地が7割、ビルが3割だとすると、全体で10億円なら、建物は3億円、これにかかる消費税は2400万円になります。このうちの約50%の1200万円を将来、税務署からの還付を返還をしなくてはいけなくなるとすると、説明が足りなかったら、お客様には大変な損害になるし、個人事業の税理士としてもとても弁償出来る様な金額ではありません。コミニュケーション不足や税法の理解があいまいだと恐ろしいことになっていました。 この場合の対処方法としては、住居用のビルだけを取得・運用する容れ物としての住宅用会社を設立して、事業用のビルを所有する会社と分けるというのも一つの方法でしょうが、そうすると、逆に住宅用のビルにかかわる消費税の還付を受け取れなくなるので、どちらが有利かは将来にの事業プランにも影響される難しい判断と言えるでしょう。 また、この追加の消費税の支払いは、個別の物件の収益性を判断する時の計算には含まれていないことがほとんどだと思うので、収益性の判断を間違える可能性があります。 さらに別の問題として、この居住用マンションを買い、共通按分方式を選択すると当期は消費税の還付を受けることが出来ますが、当期から課税売上割合が95%を切り、また、一度共通按分方式を選択すると2年間は継続する必要があるので、次に2年以内に事業用マンションを買ったときに、個別対応方式が取れなくなるので、消費税の還付が100%全額は受けれなくなります。 事業判断が税金に大きく影響されるケースで、不動産投資では消費税の判断はすごく重要だということがわかりました。 **************************************************************************************: 税理士をやっていると、多額の税金が絡むことをよく聞かれます。間違ってしまうと、クライアントにもろに金銭的な損害が発生してしまうので、損害を賠償するという話になります。相手が大きな会社やファンドだと、この損害の額が個人の財産ではとても払える金額では無くなってしまうことが十分にあり得ます。 税理士保険ももちろんあるのですが、個人の税理士と何十億の会社だと、財産的な基礎は対等ではないので、やはり、契約等で責任を限定することがとても大事だと思います。もちろん、クライアントの立場からはそれは困るということもあると思うので、きちんと責任を限定することを契約の際に説明するべきですが、それが受け入れられない場合は、最初から仕事をしないことが重要だと思います。
1. Ex-Works、Ex-Factory お客様が外国にある場合、取引形態は国内取引ではなく輸出になるから、免税になると思いがちです。そして、国内の仕入や経費が沢山あるので、これらについて消費税の還付が受けられるのではないかと思ってしまいます。 輸出免税と言う言葉は結構知られてると思うのですが、ここに一つ大きな落とし穴があります。 このようなケースで場合によっては返ってこないことがあります。消費税で目の前が真っ暗になる事業者や、はたまた税理士も多いのではないかと思います。私も色々冷や汗をかいています。ただ、税務署から電話がかかってきても、すぐには諦めない方がいいとは思います。最後は事実認定の問題になるのですが、これが結構どちらにころぶか、ねばってみないとわからないものなのです。 輸出の形態は、よく知られているように、FOBやCIFなど様々なものがあります。 このうち、CIFやDDU、FOBなどの 「C」で始まるCグループ、Dグループ、Fグループはいいのですが、Eで始まるEグループ(EX-FACTORYやEX-WORKS)の場合は注意が必要です。 CIFはCost, Insurance and Freightの略でインコタームズの説明によると、運賃と保険料込みの条件で、船に載せてから先のリスクは買主が負担します。つまり、危険は船に載せるまでは売主の負担であり、(国内でなく)国際便たる船に載ったところで移転することになるので、「輸出」です。 http://ja.wikipedia.org/wiki/インコタームズ FOBはFree On Boardの略で、本船甲板渡し条件の事です。売主は、積み地の港で本船に荷物を積み込むまでの費用を負担し、それ以降の費用及びリスクは買主が負担する事になります。つまり、商品を港に持って行って、船(現代は飛行機も多い)に乗せるところで、売主の責任は終了です。これも、国際便である船や飛行機に乗せているので「輸出」です。 おそろしいのは、Ex-WorksやEx-Factoryです。これは、インコタームズの定義によると、出荷工場渡し条件のことです。売主は、売主の敷地(工場)で買主に商品を移転し、それ以降の運賃、保険料、リスクの一切は買主が負担する、となっています。つまり、海外の買い手が国内の工場まで品物を取りに来るようなイメージです。 国内の工場までお客様が商品を取りに来るという事は、「国内取引」です。したがって、この売り上げには消費税がかかるため、輸出免税にはならず、期末に消費税の納付義務が発生してしまいます。 2. たかが紙の上の誤記載が大きな差になる事がある – 輸出許可証 輸出をする時には、通常 「輸出許可証」を税関から取得します。ここに、上の貿易条件が書いてあるのですが、ここで間違えて、実態はFOBなのにEx-Worksなどと記載されてしまうと、税務署はここを指摘してきますから、話がややこしくなってしまいます。 実態がCIFなら売買契約書などに危険は仕向地において移転する、などときちんと書いてあれば良いのですが、ここを無意識に買い手の契約書を使ってしまったり、契約書がなかったりすると証明するものがなくなってしまいます。 ですので、輸出許可を取る際にここは注意をしておくといいと思います。 3. 判例 以下に、似たような事例で国税庁の採決事例があります。 この事例では、新潟からロシアに中古車を輸出する業者が税務署から、輸出免税の適用を否定されましたが、税務裁判でこれを覆した事例です。参考になると思います。 国税庁訴訟資料 税理士の私にとっても、消費税と言うのは本当に怖い税金です。間違ったり、期限を徒過してしまうと大変なことになってしまいます。 **************************************************** H27/4/26 近所に千葉からトラックでくる八百屋さんがいるのですが、そこでオススメのタケノコを初めて買ってみました。ぬかも一緒につけてくれたので、圧力釜でぬかと一緒に煮てみたのですが、イマイチ、アクが抜けません。奥さんにやり方を聞いてるのですが、やっぱりタケノコは珍しくてやり方がよくわかりません。タケノコは料理が意外に難しいですね。
先日、外国人プロゴルファーの話を書きましたが、今回は105%会社(マークアップ方式の会社とも言います。)の落とし穴について書きたいと思います。 105%会社というのは、外国のメーカーなどが日本で商品を売る際に、販売は海外の本社から直接やり、日本子会社はマーケティングや販売補助、カスタマー・リレーションのみを担当するような場合です。 このような建付けにすると、商品の売却益が本社に帰属することになり、「PEなければ課税なし」の原則により、日本では本社の販売行為に対して法人税が発生しないこととなります。 他方、日本の子会社では、本社の販売補助・マーケティングをの対価に対して法人税がかかります。販売補助・マーケティングは本社に対して行われるサービスですので、本社に対して、報酬を請求しますが、この場合によくあるのは、営業経費に5%から10%を上乗せした金額を報酬として請求するものです。 この時、結果的に法人税が安くなることもあり、良かったよかったとなりやすいのですが、場合によって本社が日本で消費税の申告義務があることについては要注意です。(他方、儲けが少なくて、親会社、子会社の合算で損が出ていても、日本では必ず利益が出るので、納税義務が発生します。) EX-FACTORY、FOBやCIFなどの危険負担が海外で移転する場合には問題ないのですが、国内渡しの時は、国内取引になります。 「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」になるので、納税義務が3年目から発生しますので、ご注意ください。