外国税額控除というのは、外国で払った分の税金が日本で二重課税にならないように、日本の税金から控除される仕組みです。英語ではForeign Tax Creditと言います。 例えばカナダで払った源泉所得税は、日本の法人税から向上することが出来ます。個人の場合も同じで、所得税にも外国税額控除はあります。 国際課税の仕組みは世界中で似ているので、一度理解するとヨーロッパやアメリカの会社の税務の方と話しても、話がスムーズに通じます。移転価格税制とか、過小資本税制とか、タックスヘイブン税制なんかは結構いろんな国にあるようです。 国際税務は国同士の関係を定めるものなので、また、どの先進国も所得が国外に逃げることを防止しようとしているので、日本だけの固有の仕組みではなく、世界中に同じような仕組みがあると言うことです。 日本の会社であっても、外国で所得があった場合には外国で税金を払うことが多いと思います。よくあるのが、フィーをもらう際に10パーセントや20パーセントの源泉所得税をひかれていると言うものです。 これらの税金は、一定の割合で日本の法人税から控除されるので、二重課税にならないようになっているわけです。 ここでよくある誤解が、日本で所得が1000万円で税金が250万円だった場合に、外国での所得が100万円で税金が30万円だったら、日本での税金は250万円から30万円を単純に引いて、220万円になると言うものです。 ちょっとわかりにくいのですが、そうではなくて、外国での所得に「日本での税率」をかけたものが、限度になります。 つまり、日本での税率が25パーセントで外国での税率が30パーセントなら、外国の所得100万円に日本の税率の25%をかけた25万円が外国税額控除の金額になります。 昔は、外国控除は当初申告で申告されていることが要件でした。ですので、最初の申告で外国税額控除の金額が漏れてしまうと、後で取り返しがつかないので、損害賠償ものでした。平成23年からは更正の請求で後からでも認められるようになったので、現在は大丈夫になりました。
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以前にあった判例のようですが、ロシアの方が日本で中古車を買い付けて、新潟から輸出していたそうです。その際に、輸出免税の適用をうけて、消費税の還付を受けようとしたのですが、税務署から認められませんでした。 理由は、買い付けが国内で行われていたので、輸出免税に当たらないからとのことでした。 輸出免税は、あくまで輸出取引に対して適用されます。国内取引には適用されないのです。 国内の個人事業者などが、海外の大手企業の依頼を受けて、国内の資産を買い付けて輸出することあります。例えば、コイや絵画の買い付けであったり、大きな機械だったりします。 この場合に注意が必要なのは、保険やシッピングの手続きを、自分でやるような取引条件になっているかどうかです。よくある失敗例は、買い付けた後に、その海外の大手企業の手配した運送業者が品物を取りにきたり、保険をかけたりすることです。 これは、その運送業者に引き渡した時点が、危険負担が移転する時点とみられてしまうので、国内取引になってしまいます。そうすると、買い付けをした事業者は、消費税の還付を受けるどころか、多額の消費税の納税をしなくてはならなくなってしまいますので、生き死にの問題になってしまいます。 インコタームスでは、危険負担が移転する時点の順番で以下のような貿易条件が定型的に定められています。 EX-WORKS ↓ FOB ↓ CIF ↓ DAPなどの「D」で始まる取引類型 それぞれ順番に、EX-WORKSは「工場渡し」の略で、要は輸出先が、こちらの国内の工場まで取りに来てくれる取引です。 FOBはFree On Boardの略で船に積むところまでが売り主の責任で、そこで買主に危険負担が移ります。CIFはCost, Insurance and Freightの略で、荷物が買主の国の港につく所で危険と所有権が移転します。 この場合に、日本の消費税法で輸出取引と考えられているのは、FOBとCIFだけです。EX-WORKSは国内で危険と所有権が移転するので、輸出取引にはなりません。 Dで始まる取引類型は、買主の国内の、買主の所定の場所で引き渡しを行います。完ぺきに、先方の国の国内取引です。むしろ、買主の国の消費税を通関の際に売り主が負担するので、これを回収できるかが問題になると思います。 誰が手配した運送業者や保険であるかはもちろん大事なのですが、誰がその運賃や保険料を負担するかが、税務調査の事実認定の段階では重要です。 また、輸出免税を受ける際に輸出許可証があることが還付を受けるための要件の一つになっていますが、ここに先のインコタームスの取引条件が同記載されているかが重要です。実際はこちらが運賃や費用を負担しているのに、そこにEX-WORKSと書いてあると、事実認定の場面では極めて不利になります(事実関係が売り主の負担であれば、絶対に輸出免税が認められないと言う訳ではありませんので、そこは、関係資料を提出して、丁寧に説明して、当局に納得してもらう事が重要です。あくまでも、腹を立ててブチ切れたりしないように。税務署と関係が悪くなって良いことは一つもありません。) *************************************************** ついにH28年も後半に入りました。冬は忙しすぎて時間がほとんど取れないので、夏はゆっくり遊んだり勉強したりしたいと思います。 この漫画は人気のブログに掲載されているものらしいのですが、ほのぼのした感じがあり、また、介護についての日常がよくわかり、面白いです。「スーパー嫁の汗と笑いの在宅介護」
長野県あたりではオーストラリア人が経営するスキーロッジやホテルが結構あります。 たまにあるのが、税金の申告漏れです。日本でスキーロッジを経営する人は、日本の夏は仕事が無いのでオーストラリアに帰ってしまいます。 彼等は日本には一年のうちに半分以下しかいないので、自分は非居住者だと思っています。で、それはいいのですが、ロッジを経営していても、非居住者は納税義務がないと思っている人が結構いるんですよね。 日本では相手国との租税条約によりますが、事務所や事業所があると恒久的施設とみなされますので、これに帰属して発生した所得は、日本で総合課税の対象になります。 知らないとその場はいいのですが、結局、税務署がやってきます。しかも3年以上してからやってきます。その時には税金が何年分もたまっているので、かなり悲惨なことになりがちです。しかも、無申告加算税やら延滞税やらかかります。不動産があるので、そのまま無視するなんて出来ません。差押えられてしまいます。 税金はおろそかにせず、ちゃんと計画して、上手に申告しておいた絶対に得です。
一方で匿名組合形式で、非居住者からの投資を受けることも可能です。匿名組合のメリットは、やはり20%と言う低い(?)税率でしょうか。現在の日本の法人税率だと課税所得が800万円までは約24%なので、所得の小さいうちはそれほど差がないのですが、利益が大きくなると税率が上がるので(平成27年の税制改正により、現在は実効税率で約37%)、検討に値する差ではあるでしょう。 匿名組合方式の場合、以下の3つを気をつける必要があります。 (1)営業者と投資組合出資者は別人でなくてはいけない。 (2)資産の保全が債権的にしかできない。 (3)利益の分配比率 (1)一つは営業者と匿名組合員は別人でなくてはいけないということです。資本関係があること自体は許されるかも知れませんが、一方が他方を支配できる関係があるのは避けた方が良いでしょう。そして、匿名組合員はあくまで、投資をする契約ですから、営業主の事業に関して、あまり口出しすることはできません。事業について経営するのは営業者です。 ここを曖昧にしてしまうと、そもそも匿名組合の実体が無いと、否認されてしまうリスクが十分にあるように思います。具体的には、匿名組合分配金は営業者の所得の計算上損金になりますが、これが否認される可能性があると思います。 (2)もう一つは、資産の所有権は営業者になるということです。匿名組合員は出資をして、そのリスクを利益を享受する立場で、実際に営業をするのは営業者です。もしかしたら、利益の分配請求債権を担保するような感じで根抵当をつけると言うようなやり方もあるのかもしれませんが、私は見たことがありません。先に述べたように、営業者と匿名組合出資者は他人ですから、金融的に考えると、匿名組合出資者から見ると、他人に資産を預けてその資産を債権的にしか保全出来ていないので、会社方式にして経営権を把握するのと比較して、リスクが大きすぎるのかもしれません。 (3)匿名組合出資者に対する利益の分配は契約で決めることが出来ますが、営業者が適正な利益を取る必要があり、私が今まで見てきたケースで匿名組合出資者の取り分が95%で、少なくとも5%は営業者が取るようになっていました。これは、営業者が経営判断をするのが原則ですから、取り分が少なすぎると、適正な利潤が取れていないとみなされる等、問題が多いのではと思います。 ************************************************** H27/5/9 いつもの皇居一周のランニングコースを少し伸ばして、丸の内・大手町を走ってきました。お店も色々新しくなって、きれいでおしゃれですね。何か、小憎らしい感じです。
海外からの投資で、不動産所有会社や、ホテル所有会社、ソーラーパネルによる売電会社を作ることは結構あるように思います。 この場合、どのようなスキームが税務的に一番効率的でしょうか?よくこんな質問をお客様から聞かれます。特に太陽光などの場合、金額が数十億になることもあり、大手の弁護士事務所でスキームがしっかり練られていることも多いです。 匿名組合などを使わない一番簡単な形式は一つの会社を作り、そこに不動産やソーラーパネルを持たせる方法です。今は(平成27年5月現在)、法人税の実効税率が中小法人の場合、課税所得が800万円までの低いところで約24%と、匿名組合を使う場合の源泉所得税率20%とあまり変わらないため、税理士報酬その他の費用を考えると、これで十分かもしれません。 で、この会社を株式会社にするか合同会社にするかなのですが、海外からの投資で太陽光発電の施設を保有する会社を作る場合は、合同会社を作るのがいいと思います。 何故かというと、この様な資産を保有する法人は、多額の資本が必要なわけですが、この資本の構成として、通常は100%を資本金として出資することは少なく、キャッシュフローがプラスになったら、それを何時でも自由に回収できるよう、借入金の形式を採るわけです。借入金の形式を採れば、支払利息として資金の出し手に損金の形でキャッシュフローを還流することが出来る様になるわけなので、一石二鳥です。 気を付けなくてはいけないのは、利率は移転価格税制の適用対象になるので、合理的な水準である必要があります。他の債務者に劣後するなどの特殊な条件がない限りは、18%とかの利息は法外で問題になる可能性が高いでしょう。また、資本の出し手の所在する国との租税条約によりますが、支払利息には源泉所得税がかかることが多いです。例えばシンガポールだと10%ですが、利息を支払う前に租税条約の届出が必要になりますので、ご注意ください。 また、借入利息は、借入金が資本金等の金額の3倍になるまでは全額損金になりますが(過大支払利子税制が適用される場合を除く)、3倍を超えると、過小資本税制の適用対象となり、支払利子の一部は損金算入できなくなります。 したがって最初は1万円などの最低限の資本金で設立しても、設備投資が実際に必要になってくると増資が必要になります。この時の増資のやりかたですが、、資本金は1円などの最低限の金額とし、資本準備金の割合を大きくする方法が良いと思います。ここが合同会社のすごいところなのですが、株式会社のように資本準備金は出資金額の最大で半分までというような縛りはありません。つまり、増資をして資金を増やす場合に、資本金を1円、資本準備金を4億9,999万円なんてことも可能なわけです。外形標準課税という税金がありますが、この税金は資本金の金額によって決まります。資本金等ではありません。なので、資本準備金の金額は計算に影響がないわけです。 ちなみに、外形標準課税の税率ですが、都道府県によって異なりますが、一般的にいって、それ程安いものではありません。東京都の場合で、平成27年4月1日以降に開始する法人の場合、資本割が0.315%、付加価値割が0.756%かかります。資本金が1億でしたら毎年315,000円、5億でしたら、1,575,000円余計にかかります。また、付加価値割は人件費、家賃、支払利息等にかかりますが、人件費が年間1億円、家賃が1,000万円の会社でしたら、それだけで831,600円余計にかかります。 純粋に、資本金をいくらにするかという書類上の数字をいくらにするかできまるのですから、安い方が良いに越したことはないと思います。 他方、過小資本税制では資本準備金は資本金等の金額に含まれます。ですので、合同会社にしてこのような増資の仕方をすれば、外形標準課税を増加させずに、過小資本税制の適用をさける事が出来るわけです。 **************************************************** H27/5/8 最近、出来るだけ走るようにしているのですが、体重の減り方が教科書どおりで面白いです。 やっていることは、走ることと間食をしないようにしていることだけで、食事は結構普通にしています。 教科書では1キロ減らすには7,000キロカロリーを消費する必要がありますが、私の体重65キロだと110 km 走る必要があります。 この1か月ちょっとで100キロくらい走ったのですが、ちょうど1キロ少し体重が減っていました。こんなに走ったのは初めてなのですが、100キロも走って1キロしか減らないので、気が遠くなってしまう感じです。食べる量をあまり変えていないので、本当に走って消費したカロリー分だけ体重が減ったということでしょう。うーん、しかし自然科学の法則の力は素晴らしい。。