海外からの投資で、不動産所有会社や、ホテル所有会社、ソーラーパネルによる売電会社を作ることは結構あるように思います。
この場合、どのようなスキームが税務的に一番効率的でしょうか?よくこんな質問をお客様から聞かれます。特に太陽光などの場合、金額が数十億になることもあり、大手の弁護士事務所でスキームがしっかり練られていることも多いです。
匿名組合などを使わない一番簡単な形式は一つの会社を作り、そこに不動産やソーラーパネルを持たせる方法です。今は(平成27年5月現在)、法人税の実効税率が中小法人の場合、課税所得が800万円までの低いところで約24%と、匿名組合を使う場合の源泉所得税率20%とあまり変わらないため、税理士報酬その他の費用を考えると、これで十分かもしれません。
で、この会社を株式会社にするか合同会社にするかなのですが、海外からの投資で太陽光発電の施設を保有する会社を作る場合は、合同会社を作るのがいいと思います。
したがって最初は1万円などの最低限の資本金で設立しても、設備投資が実際に必要になってくると増資が必要になります。この時の増資のやりかたですが、、資本金は1円などの最低限の金額とし、資本準備金の割合を大きくする方法が良いと思います。ここが合同会社のすごいところなのですが、株式会社のように資本準備金は出資金額の最大で半分までというような縛りはありません。つまり、増資をして資金を増やす場合に、資本金を1円、資本準備金を4億9,999万円なんてことも可能なわけです。外形標準課税という税金がありますが、この税金は資本金の金額によって決まります。資本金等ではありません。なので、資本準備金の金額は計算に影響がないわけです。
ちなみに、外形標準課税の税率ですが、都道府県によって異なりますが、一般的にいって、それ程安いものではありません。東京都の場合で、平成27年4月1日以降に開始する法人の場合、資本割が0.315%、付加価値割が0.756%かかります。資本金が1億でしたら毎年315,000円、5億でしたら、1,575,000円余計にかかります。また、付加価値割は人件費、家賃、支払利息等にかかりますが、人件費が年間1億円、家賃が1,000万円の会社でしたら、それだけで831,600円余計にかかります。
純粋に、資本金をいくらにするかという書類上の数字をいくらにするかできまるのですから、安い方が良いに越したことはないと思います。
他方、過小資本税制では資本準備金は資本金等の金額に含まれます。ですので、合同会社にしてこのような増資の仕方をすれば、外形標準課税を増加させずに、過小資本税制の適用をさける事が出来るわけです。