5人くらいまでの事業では、とてもフルタイムの経理の人を雇う余裕もないし、このサイズで1人雇うのは無駄でもあります。でもやっぱり、会社は営業や日々のサービスを提供しているだけではだめで、やるべき事みたいなものは確かに存在していて、それをやらないと会社はどこかで行き詰ってしまいます。多分。 1. 月次の経理、業績管理 5人くらいになったら、月次の損益をざっくりとでも把握することが絶対に必要です。先月とか今月が儲かってるか儲かってないかわかってないと、そもそも経営なんておっかなくてやってられません。預金残高の増減で毎月なんとなくどれくらい儲かってるかはわかると思うのですが、実は決算して税金を計算する段階で、全然違った(赤字だった!)なんてこともよくあります。。 2. 毎月の経理からの解放。 社長の時間を帳簿付けとか、請求書の発想とか、月末の振込みなんかに使っていてはいけません。最初はもちろんしょうがないと思います。起業したてのころに人に人件費を払うなんてもったいないですし、むしろ、全部自分でやった方が会社のすべての流れを把握できるのでいいと思います。社長はお金の流れとか、バックオフィスの仕事の流れを把握している方が、会社が大きくなっても全社をきちんと掌握できます。 でも社員の人数が3-5人を超えたら、経理は誰かに任せるのがいいと思います。会計事務所をやっている私もはずかしながら社内のスタッフの方に任せてから、急激に自社の経理水準が上がりました。社長自らが経理をやっていると、お客さんの仕事をどうしても優先してしまうので、自社の経理が後回しになってしまうんですよね。私の事務所の帳簿も結構漏れがあったりでぐちゃぐちゃでした。 3. 翌月以降の売上と経費の予測を立てる、キャッシュフローの見込みを立てる。 翌月以降にどれくらいの売上げが立ちそうで、翌月以降にどれくらいのお金が入ってきて出ていくのかおおざっぱでもいいので、予測しておくことは重要です。その月の月末になったらお金が足りなかった!なんていう状況は最悪です。 4. 決算予想と節税対策 決算月の2-3か月くらい前になったら、決算予想と節税対策をしましょう。節税対策の多くは実際にお金を支払っている必要があります。家賃の前払いは翌1年分までは支払えば損金になります。でも実際に期末までに支払っている必要があるので注意が必要です。年度が締まって、税金の計算をし始めてからでは遅いのです。中小企業倒産防止共済(セーフティ共済)も翌1年分の240万円までを先取りで費用にすることができますが、手続きを事前にしておかないとお金を払うこともできません。 このように、節税対策の多くは事前の準備が必要なので、2-3か月前に始める必要がありますが、さすがにこれは普通の経理の担当者だけでは、任せきるのはちょっと無理です。 5. その他に会社の規模が10-15人を超えてきたら CFO的な判断が必要になってきます。これも、現在の会計事務所に相談したらいいと思います。 例えば、会社の中に二つ以上の商品グループがある場合に、会社を別にするのも一つの手です。その商品やサービスの責任者がいるなら、新会社の株を一部もってもらえば、モチベーションも上がるでしょう。さらに、本体の会社で利益が出ている場合には、800万円を超える利益に対して法人税の税率は国税と地方税を含めて40%ぐらいになりますが、新会社を作れば、利益が800万円までは税率は約20%になります。 節税に保険を使うのはあまりお勧めではありません。退職金のタイミングに合わせて解約し還付返戻金を退職金に充てるなどの計画があれば、使ってもいいのですが、一般的には15-20%くらいは引かれて返ってくるので、ファイナンスの理論的には決して有利な取引ではありません。 この手の事は会社の業態によって、どのようなことが出来るかケースバイケースになると思います。 お付き合いのある会計事務所に相談したらいいと思います。 6. 最後にチェックリスト チェックリストにしました。現在の状況をチェックしてどれくらい出来ているか確認してみてください。出来ていないようなら、改善の余地があります。お付き合いしている税理士さん(会計事務所)に相談してみましょう。 1. 月次の経理、業績管理をしていること。 2. 毎月の振り込みや請求書の発行を社長自らがやっていないこと。 3. 翌月以降の売上と経費の予測やキャッシュフローの見込みをエクセルでつけている。 4. 決算の2-3か月前に決算予想と節税対策を行っている。 5. 戦略的な節税を行っているか。
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会計事務所なんてどこも一緒だよ、毎月通帳や売上の資料を送って10日くらいしたら試算表が送られてくるだけ、担当者によってレベルにバラツキがあって、会社の事をあまり理解してくれていると思えない、そんなふうに思っていませんか? 私は違うように思います。今まで色々な会社の帳簿を見てきましたが、利益が出ている会社は会計数値を操作していません。数字を操作してしまうと、自分では本当の姿がどのあたりにあってどれくらい儲かっているか分かったつもりになっていますが、段々現実がわからなくなって来るのです。会計数値をいじる方法はご存知の通り色々ありますが、最初の一歩は減価償却費を計上しないことです。これで簡単に経費が減ります。次に未払いの費用を実際に支払うまで費用計上しないことです。現金主義会計とも呼ばれていますが、未払い費用は支払うまでは外部にはわからないので、簡単に出来てしまいます。 10人を超える会社では、個人の肌感覚で儲かっている儲かっていないの判断をするのはとても難しいです。特に儲かっていない場合ほど、社長の心のなかで儲かっていいて欲しいと思ってしまうので、ちょっと儲かっていないかも?思っても、売掛金の回収が遅いから苦しく感じるだけで会社は儲かっているんだ!とか思いこみたくなるのが人間と言うもんです。 (南アルプス仙丈岳) 会社が苦しくなるのは、多くは現状の理解を間違えるところに原因があります。実際の利益はこれくらい、実際に毎月稼いでいるキャッシュフローはこのくらい、と言うのがきちんとわかっていれば、これ以上のキャッシュフローのマイナスが続けばいつまでに会社が危なくなるとか、多少の誤差があってもそれなりにはわかると言うものです。 会計事務所のサービスは、事後的な記帳をするだけで担当者もうちの会社のビジネスをあまりわかっていない!というのは、ある程度本当ですがいつもそうとは限りません。経費は主要なものは現金主義ではなくちゃんと発生主義でつけてもらい、売上も請求書が発行された日や入金の日ではなく、納品などの売上が発生した日付で記帳してもらうだけで会計数値のレベルが格段にアップします。ついでに向こう半年や1年のキャッシュフローの見込みを作ってもらうだけで、担当者のビジネスに対する理解も上がるので、会計事務所の担当者とも有益な会話が出来るようになるのではないかと思います。多少のコストはかかりますが、それなりの品質のものにはそれなりの価格が必要だと割り切った方が、会社の経営には良いと思います。
ちょっと極端な例だけど、税務用の会計じゃダメな場合があるんですよ。 税務だけ見た会計は、税金が一番安くなるように作ります。当たり前ですけど。そうすると、使えない会計データが出来上がります。 例えばですが、節税のために還付返戻金のある生命保険にはいったり、1年分の家賃を前払いをすることはよくあります。この時、生命保険の会計処理は、税務では全額損金(税務上の所得から控除する事)に出来るものは全額費用処理して、半額損金のものは半分資産計上、半分を費用処理します。前払い家賃も、費用処理するのが損金に出来る条件なので、通常、翌期分も費用計上してしまいます。 半額まで損金にできるから、半額損金で半額資産計上って何なの!と言う話です。保険を解約したら実際に返ってくる金額ともうまったく無関係です。 家賃などのサービス内容が同じで毎月出ていく費用も同じなら、短期前払費用と言って、1年分まで前払いしても税金の計算上は払った時の費用にすることが出来ます。ただし条件があって、会社で費用処理してることです。例えば私の事務所の家賃が45万円だったとすると、540万円決算月に払って、費用処理しておけば税金の計算上も540万円は今年の経費になるっていう事です。 でもそうすると、もう今年に実際いくら利益が出ているのかとかもう、わからなくなってしまうわけですよ。本当は、家賃は前払いしてたって、それは資産計上して、その月にはその月の分のだけ経費にしないと、正しい利益なんて見えっこないですよね。 財務諸表を税務申告のためだけに作っているのならこれでいいのですが、DDなんかをやる場合は、買い手に正しい状況を伝えるために修正仕訳が必要です。 経営者本人だって、経営のためには正しい数字が必要です。 事務所で提供する試算表には、こういう税務のために歪んだ数字を修正した試算表を提供してみようと思ったりしました。後は、前年度やその前の年との比較ですかね。比較がないと、経営が良くなっているのか悪くなっているのか全然わからないので、KPIを使って経営するなんてのも、リアルな会計の数字とつながらないので、面白くなくなっちゃいますね。
自分で仕事を始めた人は、みんなはどのように税理士を探したでのしょうか?おそらく自分や奥さんの友達とか知り合いに税理士がタマタマ?いたとか、そうでなければ知り合いで自営業やっている人に聞いて税理士さんを紹介してもらったと言うような経路が意外に多いのではないでしょうか?。私の肌感覚で限られた経験でしかないのですが、これで7割くらいはありそうです。 あとは、やっぱりネットで調べて値段がそこそこ、ホームページのイメージがまあまあだったからなんてのも多いのではないでしょうか?これが2割。 そう考えると、税理士の選び方なんてのはそんなもので、結構安易に選ばれているようにも思います。確かに税理士とか会計事務所なんてのは、どこに頼んでもそんなに変わらないでしょ?というイメージはありますね。確かにそれはそうなのですが、でも、ニーズによってはそうでもないかも知れません。 それでは、星の数ほどいる税理士の中から、どんな基準で税理士を見つければいいのでしょうか?知り合いに税理士がタマタマ居たからと言う理由だけだとちょっともったいないです。 私が税理士を探すとしたらここを見た方が良いと言う事をチェックリストにして見ました。 1. 値段。自分の商売がそんなに人と変わらないなら、別に税理士は誰でも良いと思います。普通にやる事をやっていただければOK.そうだとするなら、話がしやすいかと値段が大事でしょうか。サービスの内容が他と同じなら高い所は避けた方が良さそうです。 2 ちゃんとしてそうか、どうか。良くも悪くも個人事業的なところが多いので、その税理士の性格によってサービスの内容に振れ幅が大きいように思います。ほとんどの所はサービス業ですからきっちりしていますし、ちゃんと仕事をしてくれます。私も他の先生の仕事を引き継ぐ事がありますが、みんなきちんとやっていらっしゃいます。つまりその事務所や税理士がそれなりにきっちりしていれば、サービス自体にそれほど差がないと言うことも言えると思います。 ただ、たまにですがいい加減なところもあるので、そこは要注意です。時たまですが、引き継いで見たら貸借対照表に内容の良くわからない仮払金の残高が沢山残っていることもあります。これは社長がだらしないのが悪いのですが、他方で税理士が遠慮して内容を追求しないで先延ばししていいたら問題が大きくなってしまった、と言う場合が多いです。こう言うのは税金だけ計算できれば良いと思って仕事をしてもらうとこうなりがちで、どんぶり勘定の始まりです。自社の損益がちゃんと把握できなくなってしまうので、気をつけましょう。これは税理士が悪いと言うわけではなく、データを提供する側に問題がある事が多いのですが、税理士は少しうるさ目な人の方が長い目で見ると良さそうです。 また、外資系の子会社で、たまに海外の親会社に対する借入金とか売掛金などの親子勘定があっていないこともありますが、これは言葉によるところが大きいのと、ちょっと問題を放置しておいたら訳わからなくなってしまったと言う事が多いです。ちょっと取引を訂正してそのまた訂正なんてやると、すぐにややこしくなるので、相手と言葉がきちんと通じないと本来簡単な問題のはずが、メールの返事を放置されているうちにすぐに棚ざらしになってしまいます。こっちは語学の問題とも言えるかも知れません。 ただ、ちゃんとしてるかどうかなんて、外からはよく見えません。外からはレスポンスの速さくらいしか見えないので、それが一時が万事を表すくらいに思って、レスポンスは重視しましょう。 3 自分の事業にどのようなサービスが必要なのか。まずは税金計算なのか、給料計算をして欲しいのか、会計帳簿をつけて欲しいのか。節税の相談をしたいのか。そこの事務所が、あなたのやって欲しいことをやってくれる事務所なのかどうか?眼科の病院に行って泌尿器科のことをやって欲しいと言ってもミスマッチングです。 4 あなたに必要な専門分野に強そうと言うのも大事です。外からみてもわかりにくいと思うのですが、税理士も強い分野と弱い分野があります。普通の会社や個人の事業所得、不動産所得の場合は、みんなが知っている知識で対応できるので、そう言う意味では誰でもいいです。同性代とか、同性とか、気があうとか話がしやすいくらいの判断基準でいいかもしれません。逆に相続とか国際税務とかちょっと毛色の変わった分野は、誰でも詳しく知っているわけではありません。落とし穴もありうるので、経験がある人にお願いした方がいいと思います。 これも外からは分かりにくいのですが、少なくとも自分の得意なことはHPに書いていると思います。 5 24時間対応とかは普通の事業者には必要がないので、それを売りにしている事務所があったら、自分もそれを必要としている場合にだけ、お願いすることにしましょう。さっきの話と矛盾するようですが、コミュニケーションを売りにしている所は、逆に少し心配です。担当が変われば、コミュニケーションの取り方も変わってしまいますし、段々と忙しくなって来てレスポンスが悪くなっていく事もありがちです。 ざっとこんな感じです。税金や経理なんて皆さんの事業の中のほんの一部ではありますが、皆様が良い会計事務所に出会えますように。グッドラック!
私たち会計事務所からしても、物販業は小売も卸売も共に手間がかかり、かつ、正しい数字を出すのが大変な業種の代表格です。しかし、大変だからといって、その経営状況は必ずしも十分な利益が出ていないところも多く、その状況を反映してか手数やかける時間の割には十分なフィーをいただけないことも多いです。まさに物販業の会計は、会計事務所からしても課題ではあるのです。 物販業は在庫の管理が必要なため、毎月の会計処理も手間がかかります。毎月末の在庫の金額を把握できないと売上原価が正しく計算できないので、正しい粗利益が出せないのです。ところがこの在庫の計算の仕方ですが、一つ一つの商品について、単価と期末の数量の把握が必要です。単価の計算も、個別の商品ごとに金額を把握する個別法から、平均法や先入先出法など色々あり、とても手では計算できるものではありません。商品の数が増えてくるとエクセルでも難しくなってくると思います。まさに、在庫の把握と計算は「めんどくさい」のです。 しかも、中小企業においては、在庫の管理が経営の一つの肝であったりします。輸入業などにおいては商品を注文してから手元に到着するまでに1ヶ月くらいかかることもあります。在庫が切れると注文に答えられなくなるので、売り上げを逃してしまいます。逆に在庫が多すぎると資金を無駄に圧迫します。 在庫管理は小売業においては経営の肝の一つです。しかも人間が手で計算するのでは、とてもやりきれない。これはまさにコンピュータの出番で、いかに自分のビジネスにあったソフトを使うかが大事です。 在庫管理ソフトにはいくつか有名なものがあります。私が知っている範囲でも、弥生販売、蔵奉行、PCA販売など色々あります。在庫管理は常に販売とセットになるので、請求書機能がついているものがいいと思いますが、これらは全部請求書の販売機能がついています。 また、販売管理では、売掛金の回収状況の管理や、売れ筋商品の把握、どのお客様にどれくらい売れているかなどの情報が知りたくなります。弥生販売などでもその機能はついているのですが、今度は逆にそれをきちんと使いこなしている会社や会計事務所も少ないと思います。 これらの機能はお客様に必要とされているので、それぞれのお客様のビジネスの状況に合わせて上手く提供できる会計事務所やコンサルタントにはビジネスチャンスがあるのではないかと思います。
忙しくて年中バタバタしていて利益の出ていない会社は自分の業績管理ができていない場合が多いです。こう言う会社は帳簿がきちんとつけられていないことが多いです。 私も経験があるのですが、忙しいと記録をつけることがめんどくさくなります。そうすると、どの仕事が利益が出ていて、どの仕事が利益が出ていないのかわからなくたって、とりあえずどの仕事も受けるみたいになって、仕事の量にアップアップになってしまうんですが、とりあえず頑張ってその場を乗り越えてなんてやってずうーっと忙しいままになってしまいます。 会計記録は、自分や他のスタッフの給料、社長の経費の使いなどあまりおおっぴらにしたくない秘密のかたまりです。 なかなか人に任せられません。身内であってもなかなか大変です。ましてや社員の方に任せるなんて! それでも人に任せてしまうのがいいのです。そして、中身を定期的に確認すること。そして実際にそのデータを使うこと。定期的な売り上げは少しずつでも増えているのか、減っているのか、人件費はどうか。単発的な利益で赤字をかろうじて免れているのか、月次の売り上げできちんと利益が出る体制になっているのか。 売掛金の回収はちゃんとできているか、キャッシュフローの見通しはどうなっているか。数ヶ月先に大きな借入金の返済はないか。 売り上げや経費は予算どうりか、予算どうりでないとすれば理由は何か。理由がわかったとして、打つ手はあるのか、ないのか、実際には何をすればいいのか。 見ての通り会計記録は、経営のかたまりです。数字を見ると経営が見えてきます。 人数が2−3人を超えてきて経営をきちんとやりたいと思ったら、業績をみて利益をきちんと出したいと思ったら、会計記録をきちんとつけるのは思わぬほどに効果があるかも知れません。
これからの会計サービスを考えてみました。 色々な需要があるので進むべき道は当然これに限らないとは思うのですが、将来有望な一つの方向性ではないでしょうか? ガソリンスタンドやカフェではセルフサービスが当たり前になりました。カフェでも至れり尽くせりのルノアールのようなところも人気ですが、昔の喫茶店のようなところはセルフサービスのスタバやドトールのようなカフェにだいぶ淘汰されてしまいました。 お金を出してコテコテのサービスを受けるという発想は、一昔(10年くらい?)前まではメジャーだったように思いますが、今はそれほど受け入れられている考え方ではありません。自分で出来ることは自分でして無駄なコストは節約し、その浮いたお金を別のことに使いたいというのは当然の発想のようにも思えます。 セルフサービスのガソリンスタンドやカフェが主流となっているように、会計サービス自体にもセルフに大きな時流があるのではないかと思います。私たち会計事務所をやるものにとっては、単純な労働で日銭を稼ぐことが難しくなっているのは間違い無いでしょう。 昔ながらの会計事務所の仕事のやり方で、領収書や通帳のコピーをお客さんからもらってきて会計ソフトに入力し、10日後に完成した試算表を返すというサービスも昔の喫茶店のようなビジネスモデルになってきているのかもしれません。会計事務所は一般的な喫茶店に比べるとメニューはもう少し複雑で、臨機応変さが必要なのでむしろレストランに近いようには思います。個人商店のレストランがチェーン店のレストランに席巻されてなくなってしまうことは、おそらく当面はないでしょう。チェーン店には真似のできない色々な個性のお店が日本中に星の数ほど活躍しています。そういう意味では、今までの古い会計事務所の業態もまだまだ大丈夫で、すぐに無くなることはないのではと思います。 ところで、会計サービスをどこまでセルフサービスでできるかですが、実は、会計仕訳もごく限られた種類の取引しかありません。それらをカバーできると実は会計仕訳のほぼ全部99%くらいをカバーできるのではないかと思います。それらは、下記の、 売り上げ(請求書の発行アプリみたいなもの?) 支出(会計簿の支出を記録するアプリを少しパワフルにしたもの?) 給与(源泉所得税も) 固定資産(減価償却) くらいなものでしょう。 つまり言葉を変えると、たったこれだけシンプルなアプリ(4種類!)を作ると、会計サービスのうちかなりの部分をセルフでやっていけるようになってしまうということです。 税務会計サービスは税法という法律の相談という面があるので、専門家が必要であることは間違いありません。法律には現実世界に起こりうる全ての細かいことを条文や通達で明示できているわけではありません。ですので、あくまで曖昧な部分があり、どのように認定するかという部分が残るのです。ここは税理士などの専門家に頼るべき部分ではあるとは思います。 また、アプリではできない、消費税の課税選択や簡易課税と原則課税の選択など、専門家に見て欲しい部分は沢山あります。これらの判断に関連する部分はちょっとアプリには無理なので、ずっと残っていくことでしょう。 しかし、属人的な喫茶店がカフェに淘汰されたように、会計事務所にも同じような事が、これからどんどん起きるのではないかと思います。 私どもの事務所でも、昨年から、レシートや領収書の写真から、ネットの会計ソフトに入力を代行するサービスを初めました。 ですが、今後は、会計事務所がコストをかけて入力するサービスを提供するというよりは、請求書を発行したら自動的に会計ソフトに取り込まれるようなもっと事業主が自分でできる部分はできるだけ自分でやるか、ITを使った自動化するような方向に進化させていく必要があるのかも知れません。 世の中はどんどん進歩していくので、自分もどんどん変化していかなくてはなりません。ビジネスの世界はなかなかしんどいものではありますが、面白いものでもありますね。
帳簿をきれいにするとビジネスが上手く行くし、自分も幸せになるというのが、私が10年以上税理士業をやって来た上での経験論であり、持論です。では、帳簿をきれいにするにはどうしたらいいか?また、そもそも、帳簿がきれいというのはどういう状態をいうのか? あんまり、ハイレベルな事をいきなりやっても疲れて挫折するだけなので、できることから始めるのがいいと思います。 (1)チェックリストを作る まずは、エクセルでチェックリストを作りましょう。チェックリストは、最初は2-3項目のすごく簡単なものでもいいです。まず、チェックリストを作って毎月の締めで、何をチェックしたのかを記録するようにすると、だんだん、チェックリストが充実してくるので、モチベーションも保てます。月次の締めが終わった日付が入るようにするといいと思います。 (2)銀行残高を合わせる・借入金の残高を合わせる まずは、簡単なことですが、通帳を記帳するか、インターネットバンキングをやっている場合は、残高がわかるところを打ち出して、残高を合わせます。チェックリストには、チェックを忘れないようにしましょう! (3)BS科目の残高にはすべて補助勘定を設けて、残高を全部どれかの補助勘定に割り当てる。 BSの残高は残って繰り越されていくものですから、それが何であるか一目でわかるように補助科目をつくって、残高をそれぞれに振り分けましょう。ここでポイントとなるのは、ちょっとわからないものを、「その他」とか「指定なし」みたいにして、あまり後回しにしないことです。 例えば、売掛金でしたら、残高はお客様ごとに把握するのがいいと思います。100件や200件くらいあっても、補助科目はすべてのお客様ごとに作るのがいいと思います。そして、残高を毎月確認すること。よくあるのは、お客様からの振込の際に銀行の振込手数料が864円引かれているのに、入金した金額しか残高から引かないことです。そうすると、翌月に売上が立った時に、補助残高の内容が、その売上プラス864円になってしまうので、金額が不正確になってしまうのです。これが何か月も続くと塵も積もればで帳簿が汚くなっていきます。相手を銀行手数料にしてきちんと落としましょう。 補助勘定が多すぎて一個一個作るのが合理的でない場合は、表を作って、かならず表の合計金額と勘定の残高を合わせるようにするのも、一つの方法です。 (4)源泉所得税と社会保険料の預り金はきちんと合わせる ここは、給料に関係する部分なので、計算があまり適当だと従業員の皆様からの信用に響きます。源泉所得税は、7月10日と1月20日の源泉所得税の納付の時点で一度0円になっている様にしましょう。何かの理由で0円になっていない場合は、相手が社員の給与の支払額である場合は過誤徴収、相手が納付先である税務署の場合は過誤納付と理由を分けて補助勘定を作り、残高をそこに移しましょう。 社会保険料は住民税も同じです。社会保険料の預り金は、社会保険料が引き落とされる月末に0円になるように、住民税は納付時点の翌月10日には残高が0円であることを確認しましょう。 この3つも大事なので、チェックリストに追加をお願いします。 毎月の決まった経費項目(売上も) 毎月の給与は人別で、経費も毎月ある家賃や電話代、水道代、インターネットなど補助科目を作りましょう。毎月の締めのさいに、横で比較すれば何が計上漏れになっているか、一発でわかります。 誰か第三者にチェックしてもらう事 このような項目をチェックリストにしてちょっとずつ増やしていくと、チェックリストが充実してきます。が、これをいつまでも一人(例えば経理の担当の方)だけでやると、どこかで段々めんどくさくなってきて、チェックがおざなりになってきます。ビジネスの規模がある程度になってきたら、誰かにチェックをしてもらうことが必要です。 税理士か誰かとチェックリストシェアして、一緒にチェックしてもらうと、帳簿が綺麗によみがえります。
日本で起業して会社を作る場合に、現状では選択肢は2つです。株式会社と合同会社。 株式会社の方が良く知られた形態ではありますが、フリーランスの方が法人を作る場合には、合同会社を勧めいます。しかし、合同会社はただ小さい会社だけのものではありません。大きな資本投入を伴う太陽光発電施設などのプロジェクトのためのビークルにも多く使われています。 1 費用が安い。 まず、設立費用が圧倒的に安いです。 株式会社の設立には公証人による定款の認証が必要です。これが、5万円。その他に、登録免許税がかかります。これが、15万円。合同会社では、認証は必要ありません。また、登録免許税は6万円です。 2 資本金を1/2以上にする必要がない。 増資の内、半分以上を資本金にしなくてはいけないというルールが合同会社にはありません。したがって、何十億という資本を投入する場合に、資本金を1円、資本剰余金を残り何十億という資本構成にできるため、登録免許税が最小限の3万円で済みます。株式会社の場合は、資本金の増加額の0.7%に登録免許税がかかるので、10億円が資本金になった場合、700万円の登録免許税がかかりますが、合同会社ではこれがありません。 3 その他の、法人税に関する規制は株式会社と一緒。 役員報酬を毎月定額にしなくてはいけない、そうでない場合は費用としてカウントしないなどの規定は、全部、合同会社でも一緒です。特に、合同会社だから不利になるという事はありません。 こう書いてみると、特に株式会社である必要がある特別な場合を除いて、合同会社でほんとに十分だと思います。 ************************************************* 最近、株が下がってきました。長年持っていたFXもついにマイナス圏に突入です。。 最近、教えていただいた話なのですが、株は同じ10万円を勝つのと負けるので、負ける方が3倍大きく感じるそうです。確かにそうで、10万円勝っててもなんとも思いませんが、10万円負けるとショックですものね。 (介護保険について少し学習しています。)
キレイな帳簿をつけることは、ビジネスをする上で結構重要です。ビジネスで成功することと帳簿をつけることに相関関係があるかと言えば、直接には無いとしか言えないのですが、私の経験から言うと、帳簿が汚い会社(や個人事業)は商売もあまりうまくいって無いことが多いように思います。 多分順序が逆で、整理整頓が出来ている会社は、仕事もきちんとしているため、利益が出やすい。そういう会社は帳簿もしっかりしていて、キレイであることが多い。と言うことではないかと思います。 うちの事務所でも帳簿がキレイであることを、私どものサービスの重要な品質の一つだと考えています。 では、キレイな帳簿とはどのようなものを言うか? 1 銀行残高や売掛金、買掛金などの残高がきちんとあっている。 2 売上も費用もきちんと発生主義で記録されている。 3 売掛金、買掛金、立替金、預り金などの残高が相手先や性質別の補助残高レベルであっている。売掛金や立替金の金額をお客様ごとに聞かれた場合に、すぐ回答できる。昔のことを調べたい時にすぐわかる。 4 帳簿にゴミが残ってない 5 修正仕訳を使わず直接なおす 5番はちょっと特別ですが、それ以外はどれも当たり前のことばかりです。が、意外に出来ていなことも多いです。 2については、最初のうちは少し難しい(めんどくさい)のですが、出来るだけやるようにしましょう。売上は入金のタイミングで、経費も発生のタイミングでつけましょう。そうでないと、外注のコンサルタントを派遣して売上を立てたような場合に、どちらか一方だけ立てると、PLが大きく狂います。また、もちろん、税務調査でも指摘されるでしょう。 3 BS項目は全てかならず補助勘定をつけましょう。該当する補助勘定が無い場合は、作成しましょう。補助勘定を作っておけば、補助残高一覧を印刷して眺めると、帳簿があってるか、あってないか、一目瞭然です。マイナスの残高や、ハンパな数字の残高は何かがおかしい可能性があります。中身をきちんと確認して、常にキレイにするようにしましょう。 4 それと、これも結構大事なのですが、時々帳簿を掃除することが大事です。古い残高で内容がわからなくなってしまったものは、いつまで帳簿にあっても、ずっと残っていることが多いです。これは、帳簿の見通しが悪くなるので、さっさと落としてしまいましょう。もちろん、これが税務上で損金になるかどうかと言う問題もあるので、できるだけそこは検討して、わから無いようなら、(ちょっと乱暴ですが)社長貸付金にしてしまうとか、できるだけキレイにしましょう。ダメな会社のBSの一つの特徴は、BS項目がありすぎて、本当にある資産の価値がよくわからなくなってしまっていることです。 5 PLは会社によっては月締めをしていて、前月の記録でさえ触れ無いようなルールにしているところもありますが、会社が小さいうちや、自社の経理のレベルが低いうちは、決算をまたいでないなら、出来るだけその月にさかのぼって修正するようにしましょう。前月の仕訳を直接修正できないと、間違った仕訳の修正仕訳が入り、それがもし間違っていた場合は、また、その修正仕訳が入る、なってやっていると、帳簿が分かりにくくなってしまいます。 帳簿は経理のevernoteみたいなものです。記録をきちんととっておけば、昔のことで忘れてしまったような事もすぐ調べられます。できるだけ、整理しておくようにしましょう。 ちなみに会計ソフトは弥生会計で十分です。いまは、freeeなどクラウドベースの会計システムもいろいろありますが、私はあまり使ったことがないのでよくわかりません。(すいません。そのうち勉強します。) ****************************************** 私も税理士でありながら、自分で帳簿をつけている時は、時間がなかったり、忙しかったりと言い訳をして、帳簿は雑であまりキレイではありませんでした。お恥ずかしい話です。数字を誰にも見せないように抱え込むのではなく、自分でやらずに、スタッフにやってもらうようになってから、帳簿が一気に改善されました。小さな会社の社長は忙しいと思うので、できるだけ早いうちに、社内で誰かに帳簿をつけてもらうようにするといいと思います。