作家の森博嗣さんの本です。 元々は国立大学の工学部の教授をやってらっしゃた方で、作家です。なんか視線が冷めていて暑苦しくないのですが、理屈っぽいというか、シニカルというか。それでも夢の叶え方について語っています。 世の中の多くの人が持つような夢に対して時々シニカルにコメントをしていますが、内容はごもっともと思うようなことが多いです。以下はその本の中からの抜粋です。 目標は低く 目標は低い方がいいというのも面白いと思いました。目標は高い方がいいとよく言われがちですが、この本ではその逆を言っています。つまり、 「大事なことは、必ず実現できる範囲で、しかも安全率を見積もって予定を組むことである」 「目標は低い方がいい。要するに、目標なんて実現できてなんぼのもんなのである」 こんな感じです。なるほどな、とは思いますが、でも目標が低いとなんか燃えなくないですか?気持ちが盛り上がらないというか、何というか。。そしたら、 「目標は高く抽象的であっても、日々の前進の目安は可能な限り具体的であるべきだと思う。例えば遠くへ行きたいなという夢があるなら、明日は家の前のあの角まで、明後日はその次の交差点までと決めるようにである。」。 目標は高くてもいいと書いてありました。そりゃそうでしょう。目標は高くても、抽象的でも良い、でも、毎日の目標は具体的にやれることをやりましょう。ということのようです。 そして、グダグタ言わずにさっさと始めましょうと言ってます。確かに実際の行動を起こさないと、何も起きないので、視点も経験も何も変わらず、何も始まりません。 「考えているだけではなく、できるだけ早く実行に移す。 」 「何でも良いからまずは始めてみることだ」 私もそうなのですが、本を書いて見たいとか、こういうアプリを作ってみたいとか色々思ってみたりするのですが、1週間くらいすると忘れてしまうんですよね。忘れてしまうということは、そこまでの目標とか夢だったと言われればそれまでなのですが、こういうことをメモしておいて、ちょっとでも始めてみるとまた違うのではないかと思いました。
Category: 本
この本の中に出てくる大阪のお弁当やさんの話が面白かったです。 潰れそうなお弁当やさんから地域で一番になります。 この本に出てくるのは、特殊な能力やずば抜けた能力のない普通の人たちです。そして出てくるのが、業績をアップさせるために実際に何をやったかが書いてあります。単なる頑張れと言った精神論や、抽象的な戦略論ではありません。 もちろん、ビジネスは人それぞれで置かれている環境や事業の内容が違うので、抽象論も必要です。分野が違えば、具体的なやり方は異なるはずだからです。 この本の中には具体的なアドバイスがいくつか書いてあります。この手の本を読むと、「自分の場合はこうだから・・・」と色々自分に言い訳をつけて、実際には何もやらないことが多いと思います。でも、こういう本をたまに読まないと自分の今までのやり方に染まってしまって、快適なぬるま湯から抜け出してみようとは思いません。むしろ、自分がぬるま湯にいることも気がつかないことが多いと思います。 この本に出て来たアドバスを実際に実行してみようと思います。
科学というのはすごいなと思います。大体の場合、一般人の想像できる範囲のはるか先を行っています。私は、人間の記憶仕組みというのは、個人差があったり気持ちの入り方次第で効率が異なり、何となくファジーな主観的なもののような気がしていました。でも実は結構、法則に従った機械のような働きをするようなのです。 脳の研究者が書かれた勉強しかたの本です。いかにしたら記憶に残るか。使える記憶になるか。客観的なデータがあります。人間の脳みその中には、海馬というタツノオトシゴみたいな形の一部分があって、そのひとが活躍しているのです。一夜漬けだと、海馬くんがせっかく詰め込んだ知識をぽいぽい捨ててしまいます。 実は寝てる間に海馬という部分が記憶の整理をしています。必要なものと不要なものを分別して、不要なものは消去しているようなのです。海馬くんに取っての要不要の判断基準は過去の1ヶ月にどれくらいの頻度でそのことが出てきたかなのだそうなのです。そんなこともまで分かるんだ!ということは本当にそう思うのですが、とりあえず横に置いといて、ここから導かれる結論は、よく寝ることと記憶したいことは1ヶ月より短い期間で回すことです。 会計士や税理士の勉強などをすると、あまりに分量が多いので、以前に勉強したことを次に勉強するのは6ヶ月後だったりしますが、それだと海馬が記憶を自動的に捨ててしまっています。6ヶ月後には何も覚えていないということになりそうです。 逆に1ヶ月以内だと、もしかしたら自分では忘れてしまったように感じても実はまだ無意識に残っています。もう一度繰り返すことによって、確実に記憶に残りやすくなっているのだそうです。そういう実験をして、そういうデータを取った人がいるのだそうです。 なるほどねー。。
地道にコツコツやることは、簡単で、毎日数十分をその事に使うだけです。毎日英語をポータブルプレーヤーから聞けば、5年後にはきっと英語ができるようになっています。毎日1時間と言わず、たった30分使えば5年後には思わぬくらいにすごいところまで行っているのではないかと思います。毎日1時間やっていれば、1年間で365時間です。5年経てば1800時間時間です。 よく、10,000時間やると、その分野で専門家になれる、突き抜けることができるなんて言われますが、1800時間はその5分の1でもあります。世界のトップになろうなどと思わなければ、十分にすごいところまでたどり着ける分量です。一つの事をまとめて1800時間やろうとしても、とてもじゃないけどできません。すごい多大の時間の蓄積になるのです。 きっと、私も中国語を毎日30分続けていれば、ある程度は出来るようになっていたかもしれません。でも残念ながら続いてはいません。なんか途中で無理なような気がしてしまって、時間を無駄にしてしまっている様に感じてしまうんです。発音とか単語を覚えるのとか、これは無理だ。。って思って、それで途中で辞めてしまっているんですよね。 「スライトエッジ」という本のなかに、地道にちょっとずつやることは簡単なはずなのに、出来ている人は少ない。その理由は、(1)小さい事なので、効果がすぐには目に見えずらい、時間がかかる、(2)小さい事なので、やらなくても大した事ではないと感じてしまう、と書いてあります。 なるほど、確かにそうなのです。まったくその通りで、毎日のステップが小さなことなので、効果が目に見えず辞めたくなります。また、良い事とはわかっているのですが、やらなくてもすぐには目に見えるマイナスにならないので、やらなくても別にどうってことはないのです。 この30分が忙しくて作れないという人もいるのですが、そういう場合はあきらめましょう。やる気になればできることだし、やる気にならなければ出来ない事だからです。私たちの自分の人生を左右するくらいに大きい結果がでることなので、何としてでも30分くらいは作った方がいいと思うのです。 私も日々忙しいと言いながら、何となく過ごしてしまいがちなので、毎日ちょっとずつの「スライトエッジ」したいなと思います。
文書をうまく書く必要はない、文章を上手く書く為には内容をよく考えることが必要だ、と筆者は言っています。逆に、文書を書くことはよく考えることにつながると言っています。 例えば本を読んだときに、「あー、面白かった」と思う事があると思います。これは自分の頭の中でそう思っているだけなのですから、それでいいのですが、他人に感想を聞かれたら、「面白かったよ」と答えるだけでは、何が面白かったのか、相手には全然わからないと思います。もしかしたら、自分でも何となく「あー面白かった」と思っているだけで、まだ自分の中でも何が面白かったのか、漠然としていて、自分自身が良く分かっていないのかも知れません。 そこで出来るだけ言葉にするように頑張ってみるのです。言葉にしてみようと意識的にやることで、もう一度自分の頭で考えて再構築することになるのです。何が面白かったのかが伝わるように、どういう部分が面白かったのかを具体的に書いてみるのです。その作業を通すことにより、自分の中でもう一度考えを整理することにもなるし、相手に伝わるようにもなると言っています。 そう言われてみれば、高校生や大学生の時にはちょくちょく日記をつけていましたが、あの頃は、その作業があったからかどうなのか、色々と考えていたように思います。書くのが先なのか、考えるのが先なのか、鶏と卵の関係のようにも似ていいます。それ程、考えることと書くことは実は不可分の関係にあるのかもしれません。 そう考えると、ブログを書くことは、実は情報を世の中とシェアする事にもなりますし、さらに、自分の考えを整理するためにもなるのですから、自分のためにもなると言えます。ブログを書く意味がさらに一つ増えたと思いました。
最初に出てくる言葉が、「ぐだぐだ言ってないでコード書けよ、ハゲ」。著者の和田裕介さんが肝に銘じている言葉なのですが、原文は「Shut the fuck up and write some code」です。 ようはWebサービスやソフトについて、ぐだぐだ批判したり、アイディアだけが良い事だけ自慢してもあまり意味が無いのです。実際に手を動かしてコードを書きましょう、という事です。 この本は2012年の本で、出たばかりの時に本屋のプログラミンのコーナーで見つけて、すぐに買った読みました。その時も読んで非常に良かったのですが、今読んでもなかなか面白いです。ウェブサービスを作るために必要な術を身につける方法や、面白いウェブサービスを作るためのアイディアの出しかた、企画設計する方法など色々と書いてあります。技術だけでなく、面白いWebサービスをリリースして運用するまでの過程全般について書いてます。 例えば何か面白そうなアイディアを思いついたとします。アイディアは口で言ってるだけでは、どんなものか目にも見えないし他人にはよくわかりません。自分では、それがどんなに良いアイディアだと思っても、形にして世の中でどう評価されるかを見てみないと、実際に良いアイディアだったのかどうか、世の中に便利に使ってもらえるアイディアなのかよくわかりません。 著者はPerlのコードで「いかに大量のおっぱいの画像をダウンロードする」スクリプトを書いたそうなのですが、こういうアイディアを思いついたときに、自分の手を動かしてコードを書いて、実現できてしまうという事が、プログラミングってすごいなと思いました。ちなみに、このコードで一度に30,000枚ダウンロードができたそうです。プログラミングの力ってすごいです。。 ソフトウェアは、実際に作られて世に出て、人に使ってもらって初めて評価してもらう事が出来ます。もしかしたら、多くの人に便利と思ってもらえるかも知れません。場合によっては、世界の人に使ってもらえるかも知れないのです。 そんな魔法のようなことを、Mabook Airの一つもあれば、書くことが出来ます。何か不思議でわくわくする気持ちがします。 私も色々書いてます。最近作ったSkyledgerもレシートを写真でとって会計事務所に送れたら便利だなというアイディアから始まりました。 このプログラムは、iPhoneの側ではSwiftと言うAppleの新しい言語で書いています。今までのiPhoneのプログラミングはObject-Cと言う、私にとってはちょっと扱いにくかった言語が必要だったのですが、2年くらい前にSwiftが発表になりました。そこで早速飛びついてこの言語をやってみたのですが、私にとっては、最近っぽい言語であるにもかかわらず、オブジェクト指向で型が厳密なので、エラーが出にくく、プログラミンを楽しくやれる言語でした。新しい言語を使ってみるというのは、とても楽しい体験になりますね。 このサービスの普及具合は全然まだまだなのですが、この本を読んで、もっと色々作りたいなあと思いました。
この方の本は、実務家の視線で今の現実が書かれていて、面白いんですよ。もともと、銀行やコンサルにいらっしゃったようなのですが、その後、三井不動産で「コレド日本橋」や「虎ノ門琴平タワー」など、数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手掛けていたようです。現在は不動産に関する仕事をご自分でやってらっしゃるようなのですが、実務家だけあって、机上の空論だけでない、実際の話が色々出てきます。 以前に「空き家問題–1000万戸の衝撃」という本を読みましたが、その時も、今日の首都圏の住宅事情の現実が色々と書いてあり、外側から不動産の広告を見ているだけではわからないことが、色々と起きていることがわかりました。 まず、本書では、バブルの時代に横浜郊外(保土ヶ谷区の方?)に一戸建てを立てた、エリートサラリーマンの方の話が出てきます。 この方は、現役の時がバブルで、当時あこがれの一戸建てに住んでいたのですが、当時1億とか1億5000万円した物件が現在は3000万円でも売れない話が出てきます。そして、こういった当時の戸建て中心の高級住宅街は、当時丘陵に建築されたことが多かったようなのですが、今そこに住んでいる住人は皆一様に高齢化してきているので、車の運転が出来なくなってくると途端に移動もなかなかままならなくなるそうです。 また、当時の平均的な家庭がこぞって買ったような、ニュータウンと呼ばれる新興住宅地の話が出てきます。いま、新興住宅地では、居住者の平均年齢があがり、少しずつと空き家が増えてきています。しかし、こういうニュータウンは都心からも遠く、駅からはバスだったりして、若い人たちはあまり入ってこないそうです。 そうして購買力の落ちたニュータウンからは、クリニックや商店が閉鎖したり、バス便が廃止になったり本数が減ったりして、段々と生活基盤が失われてきています。 こういう住宅が当時何千万、下手したら1億近い金額で取引されていたというのですから、人口増加や金融政策などの当時の状況をが今と違うことを考えても、時代は変わるという事がよくわかります。 結論 1)家は地域で買えと言うのが、筆者の結論です。が、地域の性格も10年経つと変わります。なので誰にも20年先のことはわからないと思いますが、バス便や都心まで1時間以上の不便なところはやめておいたほうが良さそうです。人口は当面減る方向というのが既定路線ですから、大きい買い物をローンで買うのは慎重なほうが良いかも知れません。 2)それとバブルには乗ってはいけない。数年間はいいのかも知れませんが、10年以上経つと世の中は変わっています。今がバブルだということは誰にも分からないとも言いますので、難しい事かも知れませんが、明らかにバブルっぽい時に、家をローンで買うのはかなり危険な行為と言えると思います。
いやー、恐ろしい未来がかかれています。それも前岩手県知事で総務大臣をやっていらっしゃった増田寛也氏が、役所が作った各種のデータをもとに書いていますから、信頼度もあると思います。 「このままでは896の自治体が消滅しかねないーー。減少を続ける若年女性人口の予測から導きだされた衝撃のデータである。若者が子育て環境の悪い東京圏へ移動し続けた結果、日本は人口減少社会に突入した。多くの地方では、すでに高齢者すら減り始め、大都市では高齢者が激増してゆく。豊富なデータをもとに日本の未来図を描き出し、地方に人々がとどまり、希望どおりに子供を持てる社会へ変わるための戦略を考える」(本書より) 単純な計算ではありますが、日本の出生率が1.43とすると、人世代ごとに人口が30パーセント減って、70パーセントになっていくことを表しています。もちろん、現在の日本の人口構成では、1世代が25年くらいだとしても、3世代くらいがいますから、25年後に人口が70%になっているわけではありません。 国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」という資料によると、2040年の総人口は2010年の12,806万人から10,728万人に、減ることが予想されています。12.2パーセント。すごい減少率です。 さらに、65歳以上のかたの人口の割合である高齢化率は、2010年の23.0パーセントから36.1パーセントに爆増することが予想されています。これは、単純に計算しても、支えるべき勤労世代が減って、支えらえる高齢者層が1.5倍に増えるということです。これって、恐ろしくないですか? 社会保障負担の増大 私も、それがどれくらいすごいことになるのか、イメージがわかないのです。単純に考えても、今の社会保険料が倍くらいになるということでしょうか?いまでも、給与所得者に対する社会保険料は、会社負担を入れても給与の30%あるんですよ。それが、皆さんの毎月の給与から控除されているのですが、これが倍近くに増えるとしたら、さすがにそこまではいかないかも知れないのですが、想像するとすごい負担です。成り立たないですよ、きっと。 この本からの学び この本を読んで何を学ぶかと言うことですが、近い将来の日本がどんな社会になりそうなのか、人口の面から予想ができます。社会保障費の増大と、それを支えるための社会保険料を含む税金負担の増大は不可避であることが想像できます。今、現役の世代の人たちは、将来の親の介護費用が相当に増加するほか、自分たちの分は自分たちでちゃんと貯めておかないと、子供に過大な負担をさせてしまうことになるかも知れません。 また、空き家もさらに増える方向になりそうです。地方では、すでに空き家が増えているそうですが、これがさらにぞうかすると思われます。 さらに、日本の国債は名目GDPが成長することを前提にして返済することになっている様ですが、これだけ人口が減っていくとなると、ちょっとやそっとの規制緩和や技術革新では難しいことがわかります。 大幅な円安を通じた相当なインフレか、預金封鎖や通貨の切替えなどの、何か非連続的な調整方法を採らないととてもではないけど無理そうなことは、直感的に感じます。 昨今では、JR北海道が相当部分の路線を廃止するために自治体と協議をしたとありましたが、このような状況は全国に増えそうです。 このような「事実」に関する本を読むと、私たちが自分の生活を自衛するためにもどのような事が必要になるのか、考えるヒントにはなると思います。 やるべき事、慎重に考えた方がいいと思われること 1)投資用の不動産の購入は、慎重にする。特に、変動金利で借りた地方の中核都市未満にある物件は、リスクが大きいように思います。地方は、人口の減少をどこで食い止めるかを真剣に議論している程で、人口は減少しています。不動産の値段が上がる要素は少ないように思います。 2) 地方への移住は慎重にする。特に、中核都市未満の限界集落的な地域は、人口がどんどん減ってます。緊急医療を提供できる病院をどこまで残すか、なんてことを議論しているので、将来、病院がなくなる、鉄道がなくなる、小学校がなくなるなんてことは、十分に起こりうるように思います。子供の教育を考えたら、小学校や中学校がなくなる事態は、あまりプラスになるようには思えません。
日経新聞などの毎日のメディアとこういう新書版の違い 普段、日経新聞なんかを読んでいても、新聞の中に載っている重要そうな記事が、この数十年単位の時間軸のなかでどう言う意味があるのかは、我々素人にはわかりにくいと思います。数年前にどういうことがあって、今回の中央銀行の発表がどんな意味があるのかは、マーケットにずっといる様な方でないと、なかなか文脈の中で判断できません。 この本は、現在のアベノミクスがどのような日本の財政の中でやられているのか、それにより日銀のバランスシートがどのような状況になっているかを、豊富なデータやグラフを使用して解説してくれています。 このような長期のコンテクストの中で、日本の財政状況の話が書いてあり、私なんか、早速今後の身の振り方を考えてしまいました。この本を読んだら皆様も真剣に今後の事を考えてしまうと思います。そういう意味でもお勧めの本です。 日銀のバランスシート 新鮮だったのが、日銀のバランスシートの話です。国債の残高が1200兆円を超えているとか、GDP比率が250%に近くなってきている話は、誰でもよく聞きますが、日銀のバランスシートの話は私は知らなかったです。 今、黒田総裁率いる日銀は、世界を仰天させた異次元緩和をやって日銀のバランスシートを膨らませています。リーマンショック後のFEDやPIIGSの国債が売られた時やギリシャ危機の時のECBも、債券や国債を買ってバランスシートを膨らませてきました。 FEDやECBではどのように量的緩和を解除して、積みあがったポジションを平常の状態に戻していくかという事が、議事録にも残してあるように真剣に議論されているようです。 こんな事を教えてくれる事が、こういう専門家の本の価値だと思います しかし、ここがこういう専門家の本を買うことの価値だなと思うのですが、著者はFEDやECBの議事録を読んで、どのように出口戦略が議論されているか、原文を調べているのです。こういう所はやはり専門家が時間を使って初めてできることで、私たちのように一般人が、自分の仕事を持っている中で自分の時間を使って調べるなんて、とても出来ない訳です。それが、消費税を入れても800円をちょっと超える値段で買えるのですから、本当にお得です。この部分だけでも800円の価値の100倍くらいは軽くあるように思います。 今後何が起こるのか ひるがえって、日銀の場合は「時期尚早」と言うことで、少なくとも表向きにはしっかりとした言葉では説明されていないそうです。 通常、こう言う量的緩和をやった場合の中央銀行のバランスシートは、GDPの50%とか何百兆円とか言う規模で資産が積みあがっているので、この資産を市場で売却して残高を解消していくと、市場の金利が上昇します。マーケットにあまり影響を与えないように、FEDなんかの場合は、債権を満期までもって、そこで新しい借り換えの債券を買わないようにするなどして、自然減で資金の回収を図ったりするそうですが、その方法や、時間軸・マーケットに与える影響などを真剣に議論して議事録に残しているそうです。通常、拡大したバランスシートの解消には10年くらいの非常に長い時間がかかります。 日銀の場合も、そのようにして積みあがったポジションを解消していく必要があります。 ここで、著者が指摘しているのですが、日銀のポジションはすでに400兆円くらいあるそうです。ポジションを解消していく中で金利が上昇していきますから、日銀には相当の評価損が出ることが予想できると書いていいます。この評価損が問題で、日銀の場合は債務超過になる可能性が書かれています。日銀が債務超過になった場合に、どのような影響があるのかは私にはよくわかりませんが、金融市場に与える影響が甚大になる可能性はあると思います。 国家が債務を返済できなくなった場合に何が起こるか これについても、ギリシャで起こった緊縮財政や年金の支給年齢が繰り上がったこと、戦後の日本で起きた新円切替や預金封鎖の話が書いてあります。 近い将来に、相当に高い確率で起きる未来に対して、私も自分はどうしたらいいのかと考えてしまいました。きっとこれを読んだ方も皆様も、これから高い確率で来るかも知れない大津波に対して、一体どのようにして自分の生活を防衛したら良いのだろうと考えてしまうと思います。そういう役に立つ情報や刺激も含めて、読書の価値だなと思います。 私が考えたやるべきこと 1)円の現金を減らして、何か違うものに替えておくこと。当局がインフレを通して債務を減らしたいと考えているかどうかは私にはわかりませんが、日銀のバランスシートが将来傷むのは間違いありません。円の名目価値が下がらないと政府の債務は現実的には返せそうに無いですし、そうではない場合には、暴力的な方法で債務を帳消しにするしか方法はなさそうに思います。いずれの経路をたどるにせよ、円をせめて、ドルかユーロなどの違う通貨建ての資産にしておくのは、少しは自己防衛になるのではないかと思います。 2)値下がりのリスクはもちろんありますが、金や原油などの世界で流通する価値のある現物資産を持つのもリスク分散の観点からはいいと思います。これからドルの金利が上がると、金などの現物資産の価格は下がるかも知れませんが、持っている資産のうち少しの割合ならいいのではと思います。どうせ、日本円の価値は下がらざるを得ないのですから。 3)変動金利で借金をして、不動産を買うことは慎重にした方がいいと思います。日銀が国債を買い続けることによって、金利は低いままで抑制されるかもしれませんが、そうであるなら、円の価値が外貨に比べて下落すると思います。円を防衛するためには、日銀は金利を上げなくてはいけなくなりますが、その場合には、政府が借り入れを返せなくなるのと同じように、変動金利で借金をしてしまった、私たちも死んでしまいます。金利があがれば、資産の価値は下落するし、毎月の返済も上昇するからです。 また、あたるかどうかはわかりませんので、適当に聞き流していただけると幸甚です。
天皇陛下の心臓手術をした心臓外科医の天野先生のこれまでの半生を書いた本です。 いくつかの重要な意思決定の話が出てきますが、この先生がこだわっていたのは、シンプルに手術の数だそうです。年間に何百回という数をこなすと言うことを具体的に自分の中で決めていたとおっしゃっています。外科医が手術が上手になるには、場数が大事だとおっしゃっています。 医者でも転職することはありますが、やはり転職して思ったように行かないこともあったようでした。民間の病院からある横浜市の大学病院に転職した時に、この転職先では周辺住民の平均年齢が若いこともあり、手術数がすごく落ちたのだそうです。転職して思ったのと違うと行って見てから気づくのは、医者も他の仕事も同じなのですね。当たり前なのでしょうが、新鮮でした。 そこで、手術が多く行える順天堂大学病院にもう一度転職したのだそうです。 人から求められるものを一生懸命やるというのが、職業の基本だと思うのですが、やはりそれだけではなく、自分はどういう方向に進んでいきたいのかというものを常に持っているというのも大事だと言うことだと思います。 お客さん(雇い主)はよく見ています。特に、お金を出して人を使う場合には、その人がその仕事がちゃんと出来るか、ちゃんとやってくれるかをシビアに見ていると思います。 なので、自分では得意だと思っていることでは認めてもらえずに、お金を払ってもらえる仕事と、自分がやりたい仕事が違ってしまうという事はよくあります。自分の事はどうしても甘く見てしまうので、逆に客観的に見れていません。他人の方が自分の事を客観的に見ているというのは、結構、岡目八目という通りで真実なのでしょう。 それで、よく自分が好きな事をやるより、自分が得意なこと(しかも自分がそう思っているわけではなくて、他人がそう評価していること)をやるべきだという事が、よく言われます。 きっとそうなのでしょうが、10年単位の長期間の関心を持ち続けて、技を磨いていくためには、やはり他人の視線だけではなくて、「自分はこの方向に進みたい」という自分の意思を持ち続けることも重要なのだと私は思います。 それに、「天才!」などの本にもありますが、10,000時間の法則などと言うのもあります。10,000時間続ければ、最初は下手で人に評価されなくても、誰でもすごいレベルに到達できるのです。