最近、ソフトウェアを現物出資する場合にどう評価するのか質問されました。これを機会にまとめてみました。
ソフトウェアを現物出資して、お金で出資する方と、一定の出資割合にしたいというリクエストがあったそうです。
インターネットで色々と調べたところ、関東信越税理士会の資料がPDFでありました。
関東信越税理士会HP
基本的には将来収益の現在価値がよさそうです。以下のような記述がありました。
「無形固定資産の評価の中心である知的財産権は、その価値の根元は独自性にあり代替性に乏しい。そのため自由な市場価格は期待できない。また、多くの費用をかければ有用な特許権、実用新案権等に結実するとは限らないので、取得に要した費用、開発に要した費用等過去の支出は、その無形固定資産の現在の価値を直接示すものではない。そのため将来の予想収益を基準とした収益還元評価が中心になる場合が多くなる」
まあ、それはそうですよね。そうすると、例えば、iPhoneのappなどのソフトウェアは将来の売上予測を作ってもらって評価するという事になるのでしょうか。いままでかかったコストで評価するということはやはり難しそうですね。ですので、自分の時給はだいたい5000円で1000時間使ったから、500万で評価しよう!というのは本筋ではなさそうです。
高くすることのメリット
1. 共同出資する場合に、キャッシュがなくても現金で出資した人と同等の位置に立てるのでこれはいいと思います。例えば、ソフトウェアの価値が5000万円くらいあるとして、現金で5000万円を出したい人がいた場合に、50%ずつ持分を有する会社を作ることができます。もしこのソフトウェアを1億円と評価すれば、持分を現金で出資した人より多い、2対1とすることも可能です。
将来すごく有望なソフトウェアを作っていて、投資家がこれを評価している場合には、この持分割合でも全然問題ないわけです。
2. 将来の減価償却費を多くとることができます。ソフトウェアは減価償却資産ですし、出資した時の金額がこのソフトウェアの簿価(コスト)になりますので、将来にわたって費用にできます。一億円で出資されたソフトウェアでしたら、5年で1億円の減価償却費をとることができます。実効税率が35%くらいとするなら3500万円の法人税が浮くわけです。すごい。。
高く評価することのデメリットについて
1 まず、現物出資した時点で、個人でしたら譲渡所得がかかります。ソフトウェアは総合課税になりますので、株みたいな20%一律にはなりません。所得kに応じて累進課税になりますので、45%まで行く可能性があります。住民税を入れると55%までありうります。
法人でしたら、法人税の対象です。また、その出資した法人が消費税の課税事業者でしたら消費税もかかります。逆に現物出資を受けた側では課税仕入にできるのではないかと思います(要確認)。
2 会社を設立する時には、資本金に登録免許税がかかります。これは1000分の7と結構高いので要注意です。5000万円で評価した場合は、35万円になります。
制作したソフトウェアはこの世に全く同じものはないので、値段に幅があるというのは事実でしょう。ですので、評価を高くした場合と低くした場合でどのようなメリット・デメリットがあるかを押さえておく必要はあります。
ただ、現物出資の価額は建前上、公正な価値が求められます。税務当局も見ていますし、IPOを目指す場合は証券会社も見ていますし、審査の対象にもなります。ですので、それなりに人が見て妥当な金額にしておくことが大事でしょう。
王道は将来のキャッシュフローの予測を幾つか見積もって、それに実現可能性の加重平均をかけて、現在価値に引き直すことではないでしょうか。これだと見た目でそれっぽく見えますし。。
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昨日、BoseのSoundLink Miniを買いました。
評判どおり、低い音が強く出るようです。そこは、趣味の問題なのでいいのですが、左右の幅が小さいので、音の立体感と言うか広がりがいまいちのような気がします。
まあ、この値段なら仕方がないのかも知れません。今度はいつか、ソニーのSRS-ZR7を試してみたいと思いました。