平成27年に法律が変わって、非居住者だけでも会社が設立出来る様になりました。
しかし、実際問題として、会社の設立には資本金の振込が必要なのですが、その振り込みをするための銀行口座開設がネックになる事が多いと思います。
にわとりと卵の関係のようなのですが、会社を作るためには、資本金の払い込みを証明するための銀行口座が既にあることが必要です。日本の法律では会社を設立する場合に、資本金の払い込みを、既存の銀行口座に振込みをして、通帳のそのページのコピーを使って証明するので、既に銀行口座がないと資本金の払い込みを証明する書類が作れないのです。
ですが、非居住者からすると、日本に銀行口座があるという事は、以前に日本に住んでいて銀行口座が残っていたなどの珍しい場合でない限り、通常は難しいと思います。また、建前論としては、居住者が非居住者になる場合には、銀行口座を閉じてくださいと言われることが多いと思います。
外国人ももちろん日本で銀行口座を開けることが出来ますが、在留カードが必要なようですので、居住者であることが前提です。
今まで日本に住んでいたことが無い本当の「ぴかぴかの」非居住者にとっては、ほとんど不可能なように思います。ネットで調べると可能っぽい事も書いてありますが、実際にやるのは相当大変なように思います。にわとりが先か卵が先かの状況のなかで、八方ふさがりの状況になってしまうのです。
そこで、代替的な案ではありますが、だれか日本にパートナーを見つけて、その方にも社員になってもらう(合同会社の社員になるには、ほんのわずかでも持ち分を持ってもらう必要があります)のが良いのではないでしょうか。日本で会社を作るのであるという事は、日本でビジネスをしようという事だと思いますので、ビジネスのどこかの時点で居住者の存在が必要になってくるとは思います。
合同会社の場合は、株式会社における株主であるところの社員は必ず持ち分を持つ必要があるので、日本の居住者が代表社員になりつつ、持ち分を持たないという事は不可能なのです。
まあ、あまり本意な解決策ではないのかも知れませんが、「合同会社の場合」、現実的なところとしてはこのくらいが落としどころなのかなとは思います。
株式会社の場合
株式会社の場合は、もっと簡単に100パーセント非居住者が株主の会社を作ることが出来ます。
設立の手続きとしては、やはり発起設立です。募集設立は、銀行もあまり経験が無いようで手続きに明るくないため、大変です。
発起設立では、株式を引き受けるのは発起人のみです。発起人には、居住者の場合は印鑑証明、非居住者の場合はサイン証明が必要です。
まずは、手伝ってもらえる居住者に1株でも持ってもらって、発起人になってもらいます。そして、この方の口座に資本金を振り込んで、資本金の払い込みの証明をすればよいのです。
株式会社ですから、取締役になるためには株主であることを必要条件ではありません。会社の設立後に、居住者である株主から、株を非居住者に譲渡すれば、非居住者が100パーセントの持ち分を持った会社の出来上がりです。
その後の重要な手続き – 消費税
会社の設立をしたら、消費税の課税事業者にするのか免税にするのかの選択が重要です。資本金が1000万円未満の場合は、選択ができます。1000万円未満のばあい、何もしないと免税になります。不動産投資のための会社を作る場合は、課税事業者になることを期末までに「選択」しないと消費税が返ってこないので、十分に気を付ける必要があります。