税理士である自分にお客様は何を求めてお金を払っているのかを考えて、自分でわからなくなることがあります。
税金を安くして欲しいと言う要求も常にあります。
特に去年(H27)や今年(H28)は株高があったこともあり、明暗はありますが、比較的利益の出た会社も多かったです。でも、99%のお客様は「合法」の範囲内で出来る事をやって欲しいとおっしゃいます。つまり、脱税をしてまで税金を安くしたいという人は、ほとんど居ません。「何とかなんないんですか?」と食い下がる方(暗にほのめかす方)もいらっしゃいます。でも、税金の世界にも出来る事と出来ない事があるので、出来ない要求には応えることができません。そういうお客様は私の事務所には現在いないと思います。
では、そう言うブラックな要求に多少なりとも応えないと、仕事がなくなり、食べていけなくなるかと言うと、意外とそうでもないのです。私の事務所でも、10人くらいの人数を抱えて、これまで10年以上やって来れてます。資格の必要な商売ではありますが、寡占のない自由競争の業界ですし、お客様は、嫌ならいつでも他の税理士の所に行くことが出来ます。それでも、自分のお金を払って使っていただけるのは、何らか価値が提供できているからなのだと思います。
税務会計の知識は、絶対に必要でしょう。
税務や会計のルールは毎年変化するので、フォローするのは大変です。
でも、ついて行かないと税額控除や特別償却などの恩恵を見逃してしまいます。
最近、失敗してしまったのは、課税売上割合が95パーセントを下回ったときに、一括比例配分方式で、課税売上割合以外の方法が使えたのに、使わなかったことです。この方法を使うには、会計期間の終了時点(3月31日)までに届け出を出していなくてはいけなかったのですが、課税売上割合が95パーセントを下回ったことに気が付かなかったのと、届出を出せばもっといい方法があったということに気が付いていなかったのです。課税売上割合以外の割合を使えるということは、知識では知っていたのですが、それを実務で生かすことができませんでした。
こういうミスを防止するには、私の思いつく範囲では、チェックリストしかないように思えます。多くの決算対策は期末の時点で現金が動いていることが必要だし、届出は決算の前に出して無くてはいけないのも多いですから、やはり、決算の2か月前には、一度お会いして状況を確認するという事が必要なのでしょう。
なんらかの専門性
税務会計以外に何か強い分野があるといいです。私の事務所は英語でのコミュニケーションは得意ですが、それ以外は法人税にしても消費税にしても、常識的な範囲にとどまっています。外科における心臓外科手術のような何か突き抜けた得意分野があるといいなと思うのですが、今のところ、お客様の色々な要求にこたえるように努力しつつやって来た結果、小さな総合商店のようになってしまっています。
値段
値段は、提供する側からすれば高い方がいいに決まっているのでしょうが、サービスを買う側からすれば安い方がいいに決まっています。安すぎると、サービスを提供する側が疲弊するので、避けるべきでしょう。高すぎるのは、世の中にはマーケットがあるのですから、長くは続きません。すべてのお客様と付き合おう、どんなお客様にも好かれようとしないのがポイントのように思います。