経済学でリカードの比較優位の原則と言うのがあるけど、事務所経営に関しても同じことが言えると思います。そして経営していく上での判断指針として2つあるように思います。
(1)1つは自分のスキルの中で一番高く売れることに集中すること。得意な事や好きな事ではなくて、高く売れることに集中すること。高く売れることとわざわざ書いたのは、人に求められることをやるべきと言う意味で、自分が好きで得意でも、人に求められないものは単なる自分の趣味になってしまいます。
私も自営業をやっていて難しいと思うのは、自分が面白いと思う事が、必ずしも人の求めている事とは限らないという事です。記帳代行は、自計化と言う言葉が流行り、会計事務所の仕事としてはいけてないと思われている時期がありましたが、外資系を中心に実はニーズはちゃんとあります。記帳代行だけでも、これに決算と法人税の申告をやっていれば事務所の運営はやっていけると思います。
他方、3日でしまる迅速な会計、部門ごとや商品ごとの管理会計は、中小企業にはあまりアピールしていないように思います。私は、イケてる管理会計はニーズがあると思っていたのですが、お客さんにいってもあまり関心を持ってもらえません。売り方と言うか、アピールの仕方が悪いというのもあるのでしょうし、もう少し粘れば段々離陸していく可能性もあるのでしょうが、今日の時点では、売れるサービスにはなっていません。
つまり、自分が思いこんでいることと、マーケットには常にずれがあるという事です。
また、安い単価しか得られないサービスからは手を引くべきです。そのことに時間を使ってしまっているのですから、高単価のサービスに使うべき時間が削られてしまっています。
(2)もう一つは、そのほかの事は国際間取引でいうところの他国から買うこと。
得意であっても好きであっても、他に高く売れるサービスがある場合にはそれに自社のリソースを集中して、他方、他から安く買える場合は、何でもかんでも自分たち内部でやる事にこだわらず、他所から買った方が良いという事です。自分でやってもいいのだけど、その場合は、高い利益を出せるサービスの提供に出来るはずだった時間を犠牲にして、そのことに時間を使うのですから、商売としてはあまり儲からないこと、貧乏暇なしな状況に仕組み的になってしまうことを覚悟しなくてはなりません。いわゆる社会全体での分業ですので、自分の得意でないところは人に任せましょうという事だと思います。
まあ言うのは簡単ですが、実際にはなかなか難しいことが多いです。売り上げに関しては、やはりお客さんからの要求には出来るだけ応えたくなってしまいますし、また、自分の能力を伸ばすことに挑戦して新しいことをしてみたくもなります。
外注も難しくて、事務所の中のIT化なんて人にお願いするのは、そんなに簡単ではありません。高く見えてしまったり、お願いの仕方がわからない事もあります。
(最近読んだ本です。)