非居住者に対する源泉所得税
非居住者に対する支払いに対しては、いつも源泉所得税が必要かを考えてみる必要があります。源泉所得税を忘れた場合のペナルティが強烈だからです。
以下、源泉所得税が発生する良くある場合です。
- 給与(出張で来た場合はセーフ、ワーキングホリデーで来た場合はアウト)と役員報酬
- 家賃の支払い
- 利子、配当、使用料(これは結構判断が難しい場合が多いです)
- 不動産の買受代金
以下に順番に説明していきたいと思います。
1.給与:
非居住者が日本で仕事をする場合には、20.42%の源泉所得税をお給料から引いて、税務署に納付することが必要です。納付期限は、一般的には半年に1度で7月と1月の場合がほとんどですが、給与の方が10人を超える場合は、毎月で支払月の翌月10日になります。
一番多いケースは、ワーキングホリデーなどの短期間だけ日本に来て働く場合です。
出張の場合は、多くの場合、租税条約があり日本での納税は免税となります。この場合の条件は多くの租税条約で、183日未満であること、支払いが海外で行われること、日本の拠点でその給与の負担がなされていないことに成ります。
非居住者かどうかの判断が、難しい場合も多く、その判断については後ほど説明します。
家賃
非居住者が大家さんの場合は、源泉所得税が必要です。間違えやすいのは、外国会社の日本支店の場合です。この場合、相手が実質的に日本にあるので、源泉所得税が不要と誤って判断しがちですが、間違いです。この場合も源泉所得税が必要になります。
利子・配当・使用料
20.42%の源泉所得税が必要ですが、租税条約の届け出を出すことで税率が安くなることがほとんどです。租税条約というのは国と国の税金に関する条約の事ですが、国際的な投資や技術供与を活発化させるため、0%や10%に下げられていることがほとんどです。
例えばアメリカの親会社に支払うライセンス料は租税条約で0%になっています(日米租税条約12条)。
使用料は、特許権など法律上保護された権利の他、ノウハウなど当事者間のお互いの合意で発生するものも在るので注意が必要です。
その他、配当や利子にも源泉所得税がかかりますが、租税条約で税率が下がっていることがほとんどです。租税条約の届け出は、実際に支払(相殺を含む)が発生する前に提出することが必要なので、注意が必要です。
では、租税条約の届け出を知らなかったか、忘れてしまった場合にどうしたら良いのか、これは次に書きたいと思います。
不動産の売買代金
10.21%の源泉所得税が必要です。租税条約による軽減はほとんどの場合在りません。売り手は、売却した際に源泉を引いた後の代金の89.79%しか受け取ることができませんが、確定申告をすることが出来るので、申告することで税金の還付を受けることが可能です。儲かっていれば、逆に追加で税金が出ることもあります。