仮想通貨交換業者の登録に当たっては、改正資金決済法等が施行された平成29年4月以降、事務ガイドライン[1]等で示している監督上の着眼点等に基づき、書面による形式審査だけでなく、現場訪問によるシステムの安全対応状況の確認などを通じて、実質面を重視した審査を行ってきた。
The FSA has been conducting a screening process to register Crypto-currency exchange brokers by examining not only paper documents but also by investigating its substance (of controls) through physical site visits and examining its implementation of system security based on the key audit points mentioned in the administrative guidelines after the revised Fund Settlement Law etc in April 2017.
こうした中、本年1月、みなし仮想通貨交換業者[2](以下、「みなし業者」という。)1社において保管していた顧客の暗号資産(仮想通貨)の外部流出事案が発生したことを受け、金融庁では、利用者保護を優先すべく、みなし業者を含む仮想通貨交換業者に対する立入検査等を通じて、実態把握や各事業者における業務改善の促進に集中的に取り組んできた。
Following the incident in January, this year where encrypted assets (crypto-currencies) held by a crypto-currency broker was hacked and stolen, the FSA has been focused on understanding the operations of these brokers and addressing to improve their operations in order to prioritize the customer protection.
本年8月には、これまで実施した立入検査・モニタリングで把握した実態や問題点に係る中間的なとりまとめ(以下、「中間とりまとめ」という。)を行うとともに、仮想通貨交換業に係る全ての事業者(登録業者、みなし業者、新規登録申請業者)が事務ガイドラインにおける監督上の着眼点をより具体的に理解し、自己点検等に活用できるよう、その公表[3]を行った。
By August this year (2018), the FSA gave a preliminary summary on the current situation and its concerns that came to be known through site inspections on the brokers. It made a public announcement so that current and future broker registrants understand the key audit points more specifically and will be able to perform their own self-inspections (of its compliance).
中間とりまとめにおいては、登録審査を行う際、暗号資産(仮想通貨)を取り巻く環境やビジネスが急速に変化することを踏まえ、さらに深度ある実質的な審査を行う必要があるとの考え方を示した。
具体的には、事業者のビジネスプランの聴取及びそれに応じた実効的な内部管理態勢や、利用者保護を優先したガバナンス態勢の整備状況について、書面やエビデンスでの確認の充実、現場での検証や役員ヒアリング等の強化に取り組む方針である。
In the preliminary summary, we mentioned that the FSA will have to conduct a more substantial examination in depth based on the consideration of the volatility of the business and its surrounding environment.
Specifically, the FSA is planning to tighten their review on documents and evidence, site inspections and directors’ hearings to assess the brokers’ business plans, implementation of its internal controls, and its governance on customer protection priorities.
他方、現時点において、仮想通貨交換業への新規参入を希望する事業者が多様かつ多数に上ることから、各事業者における登録に向けた予見可能性を確保する上では、登録審査のプロセスをより明確化し、その透明性を高めていくことが重要である。
AS there are many businesses who want to enter into the crypto-currency market, the FSA would like to maintain the predictability of the registration of each applicant by making the screening process clearer and more transparent.
(参考)「変革期における金融サービスの向上にむけて~金融行政のこれまでの実践と今後の方針~(平成30事務年度)」(平成30年9月26日公表)抜粋
Ⅳ. 金融当局・金融行政運営の改革
3. その他
(1)許認可等の審査プロセスの効率化・迅速化・透明化の推進
【金融行政上の課題】
許認可等にかかる審査プロセスについては、予見可能性を確保しながら効率化を図ることが重要である。
こうした観点から、今般、
・ 「仮想通貨交換業者の登録審査プロセス」(別紙1)
・ 事務ガイドラインにおける監督上の着眼点を補足・敷衍し、事業者との対話を円滑に実施するためのツール
として利用している「仮想通貨交換業者の登録審査に係る質問票」(別紙2)
・ 質問票のうち中間とりまとめで示した問題事例にかかる項目を中心に抜粋した「仮想通貨交換業者の登録
審査における主な論点等」(別紙3)
を公表することとした。
これらの資料は、中間とりまとめと併せて活用することによって、事務ガイドラインにおける監督上の着眼点をより深く理解し、登録審査における論点を予め把握する上で有益なものと考えている。
金融庁としては、今後も、登録審査における透明性の向上に向けた取組みを継続的に実施し、効率的かつ適切な登録審査を進めていく予定である。