個人で個人事業(フリーランス)をしていると、時折「法人化した方がいいのかなぁ。会社にした方が税金安くなるのかなぁ。」という考えが頭をよぎります。 昔は、売上が1千万円を超えたら法人にした方が得だとよく言われました。今は、税金(と社会保険料)だけで考えたら、個人事業の方がだいぶお得です。これを実際に数字を使って確かめたいと思います。 法人にすると売上をいったん会社に入れて、それを事業主は給与でもらう形になります。給与でもらうと2017年では最高で220万円の給与所得控除というものがあり、これを収入から引く事ができるので、所得税の税率が23%の人なら(所得が695万円から900万円)、住民税が常に10%なので、33%の税金、つまり66万円の税金が安くなります。所得(額面の7掛けくらい)が900万円から1800万円の人は税率が33%なので、住民税の10%をプラスして43%になるので94.6万円税金が安くなります。 他方、個人事業の場合には給与所得控除というものはありません。かわりに青色申告特別控除というものがありますが、これは65万円だけです。税率23%のひとなら住民税を入れても21万円しか税金が安くなりません。これだけ見ると法人の方が良いのですが、問題は社会保険料です。 社会保険料は本人負担が約15%、会社負担が15%で合計約30パーセントかかります。仮に額面が80万円だったとすると、社会保険料は月に19万円になります。(30%にならないのは厚生年金の方は62万円で上限があるからです。)40才以上の方は、介護保険料が別にかかるので月の支払いは20万円を超えます。 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/h29/h29ryougakuhyou9gatukara もちろん、個人事業主でも国民健康保険に加入するので所得が高い場合は70万円くらいはかかります。また、国民年金は毎月1万6千円ですから両方足すと年間で90万円くらいにはなります。 でも、法人の200万円以上かかる社会保険料と比較すると、給与所得控除がちょっとくらい多くても、社会保険料を入れた支出の合計では会社の方が多くなってしまうのです。 会社は社会保険に加入するのが義務ですから、ひと昔のような社会保険に加入していない中小企業が多かった時代の比較を用いるのは無理です。 簡単に売上が1000万円を超えたら、税金的には会社にした方が良いというのは、すでに昔の話です。 そうすると、法人化するタイミングというのは、税金などの金銭的な損得とは別の次元で考える事になります。例えば、ビジネスが大きくなってきて会社のイメージの重要性になってきたとか、社員を採用する際に個人事業主よりは法人の方がやりやすいなどです。 その他にも、法人の方が会社で自宅を買うと有利とか、将来事業を売りやすいとか、色々な要素はありますが、入り口ではこれくらいの事を考慮すれば十分だと思います。
Day: November 27, 2017
事業の成長・経営, 小さな会社の経理と税金