ビザにも学生ビザとか、投資経営ビザとか、配偶者ビザとか色々あります。私たちの事務所の外国人のお客様からも質問をいただいたのですが、持っているビザの種類によって相続税の対象となる範囲が変わるので要注意です。 平成29年4月から相続税が改正され、外国人でも一定範囲のビザさえ取らなければ、かつ、過去15年に日本にいたのが10年未満であれば、国外財産には相続税がかからなくなりました。以前は、居住者であれば誰でも国外財産にも日本の相続税がかかっていたのですから、随分無理な話でした。つまり、外国の本社から日本にエクスパットとして送られてきたら、たとえ任期がたったの2年だったとしても、その時点でたまたま相続が発生してしまうと、その相続で受け継いだ国外財産に日本の相続税がかかってしまうのです。 逆に私たち日本人の観点から見ても、たまたま、外国に2年間転勤してたところで親に急な一大事があり、その国で相続税をたっぷり取られたら、ちょっと納得がいかないところです。この税制が課税対象になりうる外国人の日本への転勤を阻害していたとされていたのですから、そういう意味では良い改正だったと言えるでしょう。 ただし、この改正にはオチがあり、永住者や配偶者のビザを持っていると国外財産にも相続税がかかるようになってしまいます。上記の一定範囲のビザというのはこれらです。 ここ10年くらいはバンクーバーやカリフォルニア、アジア諸国など、日本以外での資産価値の値上がりが顕著ですから、結婚して配偶者ビザをとってしまうと途端に巨額の相続税の心配をしなくてはいけなくなります。私の知り合いでもお二人が、めでたく日本人女性と結婚することになったのですが、配偶者ビザは取らない予定なのだそうです。理由はやっぱり相続税です。配偶者ビザをとると自分の国の資産に相続税がかかるので、配偶者ビザをとるのを躊躇しているのです。 そして、彼らが日本に合法的に在留できるために採る方法は、自営業の場合は投資経営ビザをとること、会社に勤務している場合には人文ビザなどの何か特定分野のビザをとることです。 せっかく結婚して配偶者ビザも取れるのに取らないで、他のビザをとるなんて、何か皮肉な話ですね。
Day: October 23, 2017
国際税務