適格株式移転について相談 株式移転は、既存の会社Aが新設で親会社Bをつくり、Aの株主はBに持ち株を移転する代わりに、Bの株式を取得すると言うものです。 お客さんから相談があり、現在非常に上手く行っている会社(仮に甲社)の株式を適格株式移転して持ち株会社をつくり、その持ち株会社の傘下で別の新しい会社(乙社)を作って、そこで新しい事業を始めたいとの事でした。 適格株式移転と言う言葉がお客さんから先に出てきたので、ちょっとときめいたのですが、目的からひも解くと、要はポイントは二つ。現在利益が出ている甲社の資金を新しい事業に使いたい。ただし、資金を出すときに報酬や配当などの形で税金がかかるようにならない様にして欲しい。また、現在の会社と別のメンバーと一緒にやりたいので既存の会社と別の株式を持つことでモチベーションを高めたいとのことでした。 目的がわかれば、株式移転を使ってわざわざ会社を2つ作る必要があるかどうかは、他の目的も考えておのずと明らかになってきます。別に、親会社を作って、甲社と乙社を持たせる必要はなく、甲社から株主への貸付金でも十分目的は果たせるかも知れません。 確かに合併や会社分割、株式移転・株式交換などの単語はかっこよくもあり、惹かれるものもあるのですが、これに飛びつくことなく、実質を良く考えた方が良い場合の方が多いでしょう。 節税では奇抜な事よりも基本的なことの方が重要 先日、節税の相談をされて失敗してしまったのですが、節税の方法には一般にウルトラCはありません。課税される所得が魔法のようにぱっと消えてしまうことはないのです。それよりは、地道にそのお客様の置かれている状況や財務諸表をもう一度確認することが早道です。 そのお客様は退職金を払う状況にあるかもしれません。PCなど古くなった細かい備品を買い換える必要があるかもしれません。また、財務諸表を丹念にみると、滞留している不良債権があるかも知れません。これらが税法上で貸倒処理できるかを丁寧に見る方が、結局は変なリスクをお客様に負わせることなく、十分に節税をすることができることが多いです。 もちろん、ちょっと以前に可能だった太陽光発電装置を買ったり、海外の不動産を買ったりするなどの大技を検討する必要がある場合もあると思うのですが、そういうリスクが伴うことをするよりは、もっと先に出来る基本的な事があるでしょうという事です。 そして、そういう基本的な事項は社内の事なのでお客様の方がよく知っています。そういう状況を上手く引き出して聞かせてもらい、その中で出来る事を探すのが王道だなと改めて思った次第です。反省。
Day: February 2, 2017
会社節税