いやー、恐ろしい未来がかかれています。それも前岩手県知事で総務大臣をやっていらっしゃった増田寛也氏が、役所が作った各種のデータをもとに書いていますから、信頼度もあると思います。
「このままでは896の自治体が消滅しかねないーー。減少を続ける若年女性人口の予測から導きだされた衝撃のデータである。若者が子育て環境の悪い東京圏へ移動し続けた結果、日本は人口減少社会に突入した。多くの地方では、すでに高齢者すら減り始め、大都市では高齢者が激増してゆく。豊富なデータをもとに日本の未来図を描き出し、地方に人々がとどまり、希望どおりに子供を持てる社会へ変わるための戦略を考える」(本書より)
単純な計算ではありますが、日本の出生率が1.43とすると、人世代ごとに人口が30パーセント減って、70パーセントになっていくことを表しています。もちろん、現在の日本の人口構成では、1世代が25年くらいだとしても、3世代くらいがいますから、25年後に人口が70%になっているわけではありません。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」という資料によると、2040年の総人口は2010年の12,806万人から10,728万人に、減ることが予想されています。12.2パーセント。すごい減少率です。
さらに、65歳以上のかたの人口の割合である高齢化率は、2010年の23.0パーセントから36.1パーセントに爆増することが予想されています。これは、単純に計算しても、支えるべき勤労世代が減って、支えらえる高齢者層が1.5倍に増えるということです。これって、恐ろしくないですか?
社会保障負担の増大
私も、それがどれくらいすごいことになるのか、イメージがわかないのです。単純に考えても、今の社会保険料が倍くらいになるということでしょうか?いまでも、給与所得者に対する社会保険料は、会社負担を入れても給与の30%あるんですよ。それが、皆さんの毎月の給与から控除されているのですが、これが倍近くに増えるとしたら、さすがにそこまではいかないかも知れないのですが、想像するとすごい負担です。成り立たないですよ、きっと。
この本からの学び
この本を読んで何を学ぶかと言うことですが、近い将来の日本がどんな社会になりそうなのか、人口の面から予想ができます。社会保障費の増大と、それを支えるための社会保険料を含む税金負担の増大は不可避であることが想像できます。今、現役の世代の人たちは、将来の親の介護費用が相当に増加するほか、自分たちの分は自分たちでちゃんと貯めておかないと、子供に過大な負担をさせてしまうことになるかも知れません。
また、空き家もさらに増える方向になりそうです。地方では、すでに空き家が増えているそうですが、これがさらにぞうかすると思われます。
さらに、日本の国債は名目GDPが成長することを前提にして返済することになっている様ですが、これだけ人口が減っていくとなると、ちょっとやそっとの規制緩和や技術革新では難しいことがわかります。
大幅な円安を通じた相当なインフレか、預金封鎖や通貨の切替えなどの、何か非連続的な調整方法を採らないととてもではないけど無理そうなことは、直感的に感じます。
昨今では、JR北海道が相当部分の路線を廃止するために自治体と協議をしたとありましたが、このような状況は全国に増えそうです。
このような「事実」に関する本を読むと、私たちが自分の生活を自衛するためにもどのような事が必要になるのか、考えるヒントにはなると思います。
やるべき事、慎重に考えた方がいいと思われること
1)投資用の不動産の購入は、慎重にする。特に、変動金利で借りた地方の中核都市未満にある物件は、リスクが大きいように思います。地方は、人口の減少をどこで食い止めるかを真剣に議論している程で、人口は減少しています。不動産の値段が上がる要素は少ないように思います。
2) 地方への移住は慎重にする。特に、中核都市未満の限界集落的な地域は、人口がどんどん減ってます。緊急医療を提供できる病院をどこまで残すか、なんてことを議論しているので、将来、病院がなくなる、鉄道がなくなる、小学校がなくなるなんてことは、十分に起こりうるように思います。子供の教育を考えたら、小学校や中学校がなくなる事態は、あまりプラスになるようには思えません。