「この講義の目的は、みなさんの現在の日々の生活においても、将来的に大人になって社会人になった後においても、交渉事にぶち当たったとき、なにか、よりよき選択ができるように、相手方の主張、それに対する自らの主張を掛け値なしにやりとりできるように、究極の問題例を挙げつつ、シュミレーションしようとしたことにあります。」(帯紙より)
まだ全部読んでないのですが、読み応えがあります。意思決定に関しての最近の研究成果であるダニエル・コールマンの選択の話も出てきます。意思決定にはバイアスがあり、簡単な算数程度の確率が絡んだ判断でも不利な意思決定を、頭のいい人でもしてしまうことがよくわかります。
私たちも、日々色々な意思決定を迫られるじゃないですか?その中には小さいものもあれば大きいものもあります。小さい意思決定も大事だと思うのですが、大きいのは大事です。例えば、就職するときとか、結婚するとき、マイホームの購入を決断する時、転職するとき、会社を辞めて独立するとき。こういう時に正しい意思決定をすることができるか、それがその後の人生に大きな影響を及ぼします。
小さな自営業でも、大きな(小さな)事務所の引越しをするかどうか、新しい事業分野に進出するかどうか、事業をあえて大きくしないのか、それとも人を採用して大きくしていく方向でやっていくのか、色々な選択の場面があり、色々な結論がありえます。
私の中で最近の選択は、あらたな資格試験に時間やお金を集中するか、それともシステム開発にするかというものです。海外に事務所を出してみたいというのもあります。どれも会計事務所としてはシナジー効果があると思います。税理士の仕事は税金の仕事ですが、法律が密接に絡みます。資格試験は法律の試験ですが、結構、近接分野です。相当に時間がかかりますし、試験に受からないという可能性は沢山あります。
システム開発も、今の仕事と相乗効果がありそうです。比較的新しい分野ですので、どういう風にメリットになりうるのかやって見ないとわからないという不確実な部分もあります。
この選択の根底には、仕事は何のためにするのか、という問いがあります。仕事は生活費を稼ぐべきもので、個人が家庭を守るために食えればいいのか、お金が稼げればいいという考え方もあります。このほうが、仕事に変な個人の趣味を持ち込まないので、正しいく良い仕事ができそうです。独りよがりにもならなそうですし。
それとも、仕事に個人の趣味や生き方を持ち込むか。食うだけにとどまらず、仕事に何らかの自分の価値観や好みという数字だけでは判断できない要素を取り入れてしまうか。仕事なんて、所詮は人生の一部分にすぎないと考えると、食えるようになったら、あとは何をしてもいいのだから、逆に自分のやりたいことを加味してみるというのも全然ありになります。
でも大きな意思決定は、特にのちのちの人生にも本当に影響しちゃうので難しいですよね。
この本は読みごたえがあります。色々な実在の登場人物が出てきて、戦前の歴史に興味が出てきます。