事業再生M&Aと言うコンサルティングのやり方

ビジネスとして成り立つのかどうかと言う疑問はありますが、事業再生M&Aと言うコンサルティングのやり方があるそうです。そのコンセプトは簡単で、売れそうもない業績不振の会社を再生させて、企業価値を上げて売却すると言うことです。業績がよくない中小企業にとっては夢のような話です。そんなことが本当にできるのでしょうか。

企業再生と言うのは難しくてかっこよく聞こえますが、その手法は概略で見る分にはそれほど複雑なものではありません。一つは管理会計をきちんとして、採算部門をきちんと把握することです。少し古い会社だと、この経理がどんぶりであることが少なくありません。どの部門が利益が出ているのか、どの商品が赤字なのか良くわかっていないことが少なくありません。経費を各部門や商品に分けて配分して売上と対比するので手間がかかるのですが、これで得られるものも多いのです。

社内の経理の人も会計事務所もこう言うのは手間と時間がかかるので嫌がることが多いと思いますが、やれると得られるものも大きいです。大変ではありますが、一回だけでも継続する仕組みを作れれば、あとはある程度は自然に回るようになります。

 

 

事業承継のやり方には教科書的なパターンがある。とりあえず、それを抑えれば70点は取れる?

事業承継のやり方には色々ありますが、税務・会計の側から見るといつ誰に経営権と株式を移転するかと言う経営的な事を決めた後は、どのように税負担を少なくするか、資金負担をどうするかというのが検討される視点です。

<事業承継で納税負担を有利にするための教科書的パターン>

持ち株会社スキーム(最初から承継人のお金で設立して、借入で株式を買い取る)

資産管理会社スキーム(譲渡後の業績向上による評価益の増加分には42%減額できる)作り方には借入でやる場合と株式交換による方法がある。

一般社団法人スキーム(H30年以降は大幅に制限されそうです)

会社分割(高収益部門の分社化など)

会社合併(評価方法を類似会社に変える、低い評価方法に変える)

社長退職金と同時に株式の譲渡

優先株

グループ法人税制を使った高収益物件の後継者の会社への移転

 

非上場株式の株価は、上場株式のように日々取引所で決定される客観的な数字がないので、以下のような要素に働きかけることによって株価を下げます。

 

評価方法(従業員や資産規模、売上などによって相続税法で定められた株式の評価方法は、純資産方式と類似業種株価方式のどちらになるか、その折衷割合が異なります)。会社の規模が大きくなるほど、類似業種株価方式の割合が高くなるので、株式の評価が下がるのが一般的です。したがって、2つ以上会社を持っている場合は、両社を合併すると株式がやすくなります。

また、純資産方式と類似業種株価方式のいずれを使うにせよ、利益や純資産、配当の金額が少なければ評価も下がります。ですので、譲渡のタイミングに合わせて退職金を払って利益と純資産を減らすなどすれば、直接に株価を下げることができます。

また、少数株主には配当還元方式と言う特に低い評価方法で評価できる場合もあるので、そのような株主はいるか、誰に相続させれば配当還元方式を使えるかを検討しておきます。

この大前提を頭に入れた上で、次のような手順でどのような施策ができるかを考えて行くのです。

まず、現在の事業の株価を算定すること。

後継者を決めること。その時に「いつ」やるかも決めること。株式を後継者に集中して移転できるように計画すること。株式が分散すると、後継者は意思決定を自由にできなくなってしまう。

後継者には親族内か従業員などの内部の後継者以外に、雇用維持のため、第三者もありうる。従業員などに承継させる場合には、本人に資金力が十分でないことが多いので、その資金をどうするかが問題となる。

株式はその時期に合わせて株価の安くなるような施策を決める。株価が高い時に株式を移転すると贈与税や相続税の負担が大きくなる。

 

株を移転するとしても、贈与とすると将来の特別受益の減殺請求の可能性を残してしまうので、争族を避けるためにも、可能なら売買で譲渡する。

 

<後継者を選ぶ>

親族(子供)の場合、本人に継ぐ気があるか、能力があるか。

親族外承継(社内幹部)会社の事情に明るいので、安定感がある。問題は、資力があるかどうか。

M&A 書いてが見つかるかどうか。値段が折り合うか。

 

<後継者を育てる>

親族を社内で育てるのは一般的には難しいと言われているらしい(本当にそうか?)。

社外で育てる場合も会社規模が異なったり、事業内容が異なったりするのでハードルはある。

いきなり全権を移転するのは危険。一部だけを任せるなどのワンクッションをおく方が上手く行くことが多い。株についても、社長が退職する時に退職金を払って会社の株価評価を下げて、そこで移転するのが定跡。

よくあるパターンに持ち株会社方式というのがある。これは新しい会社を、子供が100万円などの手元の現金から出せる金額で設立して、この新会社で銀行から株式の買取資金を買い取り、子会社(既存の会社)の利益を配当として吸い上げ、親会社はその配当から銀行の返済をする。子会社からの配当は益金不算入になるので、法人税の2重払いは発生しません。

大事なのは、世の中には教科書的な手法がある程度決まっているので、自社の場合はどのような方法が使えるのかを検討することです。それほど難しいことではありません。次に、どのような方法でも、ある程度は陥りやすい教科書的な落とし穴のパターンがあるので、それが大丈夫かを検討しておくことです。

 

<教科書的な落とし穴>

配当還元方式を使える株主の範囲を間違えていないか。

特定会社(比準要素数1・土地保有特定会社・株式保有特定会社、開業後3年未満)に当たってしまう

外国会社に類似業種比準方式は使えないl

株式を移転する年度の法人税の申告は、修正されると評価が激増してしまうかのせいもあるので、慎重にやること。

 

これだけで、70点くらいの承継プランの大枠ができたことにはなるのではないかと思います。

 

自社株の評価額を下げて事業承継を簡単にする方法

事業承継をする際に一つのネックになるのが株式の承継です。会社の価値が高いほど一般に株価の評価も高くなるため相続税が高くなります。生前に株を贈与する場合には贈与税がかかりますが、この場合も株価の評価が高ければ贈与税がかかります。

株価を下げる方法は大きく分けると2つあります。一つは株価の評価方法自体を変えてしまう方法です。一般的に株価の評価は定額譲渡や贈与の問題を避けるために、相続税の評価方法を使うことが多いです。相続税の評価方法では会社の規模で計算方法が純資産方式と類似業種比準価額方式があります。

会社は規模によって評価方法が変わる。

評価対象の会社の規模によって評価方式がかわり、小会社は純資産方式、中会社以上は純資産方式と類似業種批准価額方式の加重平均になります。一般に類似業種批准価額方式の方が評価が低くなるので、小会社に属する場合は、中会社になるように、あまり儲からなくても取引量を増やしたり、借入をして資産規模を増やしたりするのが有効な方法になります。

会社を二つ以上もっている場合には、単純にそれらを合併すると会社の大きさが大きくなるので、上手く行けば会社の規模の等級が上がります。例えばそうすることで小会社から中会社に等級が上がれば、類似業種比準価額方式が使えるので簡単に評価が下がります。例えば小売・サービス業の規模の等級は以下の通りです。類似業種比準価額方式を使うには、人数が5人を超えるようにするか、総資産が4000万円を超えればいいわけです。従業員3人の会社を2つもっているのなら、2社を合併することにより中会社の小という等級に出来るので、100%純資産方式の評価に較べて評価を安くすることが出来るのです。

<小売・サービス業>

   

総資産価額と従業員数 取引金額 判定
10億円以上かつ50人超 20億円以上 大会社
7億円以上かつ50人超 12億円以上20億円未満 中会社の大
4億円以上かつ30人超 6億円以上12億円未満 中会社の中
4,000万円以上かつ5人超 6,000万円以上6億円未満 中会社の小
4,000万円未満又は5人以下 6,000万円未満 小会社

その他に総資産を増やすことも出来ます。総資産を増やす方法には色々ありますが、借入をして不動産や在庫を増やすのも一法です。借り入れをして不動産を増やすのはリスクのある行為ですが、不動産自体が収益を生む場合もありますし、不動産を購入することをそもそも考えている場合に、個人名義ではなく会社名義で購入することも検討したらいいと思います。

次回は、純資産や利益、配当などの財務要素を通した株価引き下げの方法を考えてみたいと思います。