米国歳入庁が米国人が所有する海外会社の留保所得に課税する恐ろしいルールを発表しました。

米国財務省と歳入庁は昨年(2017/12/22)に発表された「移行税(transition tax)」についてのガイダンスを発表しました。

最近施行された米国歳入法のセクション965で、米国人(個人と法人の両方を含む)が所有する海外の会社(日本にある会社をもちろん含む)の内部留保について8パーセントから15.5パーセントの税金をかけることが規定されました。これは日本に居住するアメリカ人が日本で作った会社にも当てはまるので、日本で会社をやっているアメリカ人の方々には注意が必要です。

考え方としては、海外に留保された利益がいったんアメリカに配当という形で還元されたとみなして課税する仕組みのようです。

実際の税率ですが、現金には15.5パーセント、それ以外の資産には8パーセントの税金が課せられるようです。内部留保と言うのは自己資本から最初の資本金と資本準備金等を控除した利益の積み重ねで、直接どの資産項目と結びつくと言うものではないので、おそらく現金から順番にあてていって、残りをその他の資産で留保していると考えるのではないでしょうか。

いずれにせよ、日本を含むアメリカ人には大変な話の様で、アメリカ商工会議所のニュースレターでも大きく取り上げられていますし、私どもの事務所に勤務するアメリカ人CPAもこれはひどい税金だと言っていました。

こちらがIRSガイドラインの原文です。

外国人に対する相続税の課税範囲が変更になりました(平成29年4月)。永住ビザと配偶者ビザの取得状況に影響が?

ビザにも学生ビザとか、投資経営ビザとか、配偶者ビザとか色々あります。私たちの事務所の外国人のお客様からも質問をいただいたのですが、持っているビザの種類によって相続税の対象となる範囲が変わるので要注意です。

平成29年4月から相続税が改正され、外国人でも一定範囲のビザさえ取らなければ、かつ、過去15年に日本にいたのが10年未満であれば、国外財産には相続税がかからなくなりました。以前は、居住者であれば誰でも国外財産にも日本の相続税がかかっていたのですから、随分無理な話でした。つまり、外国の本社から日本にエクスパットとして送られてきたら、たとえ任期がたったの2年だったとしても、その時点でたまたま相続が発生してしまうと、その相続で受け継いだ国外財産に日本の相続税がかかってしまうのです。

逆に私たち日本人の観点から見ても、たまたま、外国に2年間転勤してたところで親に急な一大事があり、その国で相続税をたっぷり取られたら、ちょっと納得がいかないところです。この税制が課税対象になりうる外国人の日本への転勤を阻害していたとされていたのですから、そういう意味では良い改正だったと言えるでしょう。

ただし、この改正にはオチがあり、永住者や配偶者のビザを持っていると国外財産にも相続税がかかるようになってしまいます。上記の一定範囲のビザというのはこれらです。

ここ10年くらいはバンクーバーやカリフォルニア、アジア諸国など、日本以外での資産価値の値上がりが顕著ですから、結婚して配偶者ビザをとってしまうと途端に巨額の相続税の心配をしなくてはいけなくなります。私の知り合いでもお二人が、めでたく日本人女性と結婚することになったのですが、配偶者ビザは取らない予定なのだそうです。理由はやっぱり相続税です。配偶者ビザをとると自分の国の資産に相続税がかかるので、配偶者ビザをとるのを躊躇しているのです。

そして、彼らが日本に合法的に在留できるために採る方法は、自営業の場合は投資経営ビザをとること、会社に勤務している場合には人文ビザなどの何か特定分野のビザをとることです。

せっかく結婚して配偶者ビザも取れるのに取らないで、他のビザをとるなんて、何か皮肉な話ですね。

恒久的施設 PE認定の話

どのような時に恒久的施設(PE)があると認定されるか

その昔の話ですが、PEが日本にあるのではないかと税務当局より指摘があったことがありました。

私のそのお客様は日本とヨーロッパの両方に会社(それぞれJ社とE社)を持っていて、日本で機械を仕入れて、ヨーロッパのお客様に販売していました。私は当時知らなかったのですが、お客様は日本の会社の社長であるばかりでなく、ヨーロッパの会社の社長も兼ねていました。

ビジネスの仕組みはいたって簡単で、日本で購入した特殊な機械を、ヨーロッパで販売すると言うものでした。まずJ社がE社に商品を販売し、E社はそれなりのマージンを抜いて、E社のお客様に売ると言う仕組みです。

緑の線が形式上の取引の流れで、赤線が実際の物の流れです。

ここに税務調査が入りました。そこで問題になったのが、E社が何者かと言うことでした。J社とE社は名前が似ていたので、関係があるらしいことは伺い知れました。税務調査では、この会社がどんな会社であるのかが調べられました。どこに所在するのか、社員は何人くらい居るか、資本規模はどれくらいか、売り上げはどれくらいで、つまり実体はあるのか。また、E社ではどれくらいのマージンが形状されて、その先のヨーロッパのお客様に売られているのかが調べられました。

その過程で、E社は社長が保有して居る会社で、他にあまり(もしくはほどんど)ビジネスはしていないこと、従業員はいないこと、J社の社長はE社の社長でもあること、本社はとある会計事務所に登録されて居ることがわかりました。

一連の取引は仮装ではないかとの主張も当局からされましたが、E社が金融機関からJ社のための資金調達をして居ることや、J社のウェブサイトを運用して居ることから、ファナンスとマーケティングの機能は少なくともやって居るとの納税者側からの主張はなんとか認めていただく事ができました。

ただ、J社の社長がE社の恒久的施設(PE)になるのではないかとの指摘があり、これは受け入れざるを得ませんでした。

PEは、租税条約によって異なるので、外国会社の日本の拠点がPEに該当するかは、相手国によって異なる可能性があります。ただ大枠は国際的にコンセンサスが取れていて、情報収集を目的とする駐在事務所や、外国にある本社のために仕入れをするための商品倉庫などは該当しないことになっています。他方、登記の有無関わらず支店はもちろん、自社の製品やサービスを契約できる代理人もほとんどの租税条約でPEに該当することになっています。

国税局などの実際の税務調査での確認事項を見ると、実務上では、契約を締結できる権限があるかどうかの判定として、見積もりは誰が作成して居るか、契約の受注は誰が受けて居るかが重要視されて居るように思います。つまり、本社が日本に人(本社の社員ではなく、業務委託料をもらって居る場合で)が置くのは、最終的には本社の製品を日本人のお客様に売るためですが、その人が実際に見積もりを本国に依頼して作ってもらって、日本のお客様に渡して居るのか、それとも実はその人が作ってしまって居るのか、メールなどの証拠の提出を求められる事がほとんどです。

メールなどで、日本の担当者が見積もりや契約を締結していて、本社にはその報告して居るだけのようなメールが出てきてしまうと、PE認定一直線になってしまうので注意が必要です。

その他に、外国会社がインターネットを通して日本に物品を販売する場合に、日本にインターネット・サービス・プロバイダーのサーバーにホストされてイるウェブサイトを通じて、物品を販売しても、日本にPEがあるとは通常認定されません。日本で自前で場所を借りてサーバーを設置して居るような場合は、恒久的サービスがあることになります。

PEと認定された場合にどのように所得を計算するか

この話は、本社のPEが日本にあるかどうかの話なので、PEの所得をどのように計算するかと言う話とは別なので注意が必要です。 PEで課税される所得は通常、そのPEに帰属する帰属主義に基づいて計算されます。つまり、外国の本社が直接にやって居る取引は、日本のPEに帰属しないので、日本での所得ではありますが、PEに納税義務は発生しないと言う事です。さっきの例でいうと、日本のPEとは別に本社が直接にインターネットサイトかなんかで販売している商品の利益はPEに帰属しないので、日本で法人税の納付は必要がないことになります。

ただし消費税については、PEの有無に関係なく納税義務が発生するので注意が必要です。

非居住者の税金 不動産所得の場合

非居住者の不動産所得は確定申告が必要

非居住者で不動産からの収入がある場合には、給与とは異なり確定申告が必要です。給与収入の場合、一律の20.42パーセントの源泉所得税を引かれて税金関係の処理は全て終了で、国内居住者のように還付を請求することはできません。不動産の場合はそうではありません。

非居住者が日本で不動産を持つ例は、現在では全然珍しくなくなりました。正確な統計はわかりませんが、相当多くの外国人が日本の不動産を持っています。それらの方の中には日本に住んでいる方もいれば、海外に住んでいる方もいます。

日本の不動産は海外の方にとっても魅力的ということなのでしょう。

よくある事例は、日本人で海外に転勤などで自宅を貸す場合、日本にいた外国人が日本で不動産を買った後、海外に戻る場合です。これらの人たちは不動産会社を経由して不動産を賃貸に出すと、源泉所得税を20.42パーセントも引かれます。

これらを取り戻す意味でも、確定申告が必要なのです。

非居住者は確定申告をするときに、納税管理人を選任する必要があります。納税管理人を選任するには税務署に届出を提出する必要がありますが、その用紙は国税庁のHPにあります↓。簡単です。通常はその税理士がなるか、親戚がなることが多いと思います。

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/07.htm

非居住者は不動産所得の申告をすることで、逆に所得税を還付される

非居住者が家賃をもらう場合には、20.42パーセントの源泉所得税を引かれるのが原則です。払う側が法人もしくは個人事業主の場合には源泉所得税を引くことが必要ですが、個人が自分または家族用に借りる場合には必要ありません。

非居住者の場合は、海外の所得については申告する必要がありません。ですので、よほど多くの不動産を日本で持っていない限り、所得(グロスの家賃収入のことではない)はそれほど行かないと思うので、税率はそれほど高くなることはないと思います。したがって、還付になることがほとんどです。

日本で税金が少なくても、現在の居住国で総合課税になるので日本の税金の金額はあまり関係ない場合が多い

ちょっとややこしくなりますが、日本で税金が安くなっても、結局本国で税金を払うときに、外国税額控除として引くことができる金額が減るので、トータルでは日本でいくら払っても関係ないという方もいます。

外国税額控除の説明もそのうち書きたいと思います。。

ちなみに非居住者と居住者の違いがよくわからない方はこちらをご覧ください。