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「調整対象固定資産」がどれほど恐ろしい事態になりうるかと言う実例

time 2015/06/04

先日、随分大きな調整対象固定資産のケースに関係しました。

調整対象固定資産というのは、自動販売機を設定して初年度に課税売上を上げつつ、アパートを建設して消費税を多額に還付してもらうという、昔可能だったあれです。

実際のケースを多少アレンジはしていますが、ざっくりいうと、初年度に10億の事業用ビルを買って、2年目にまた10億のビルを買って、3年目に20億で居住用マンションを買うと言うケースでした。これが、税理士として不用意に助言をしてしまうと、大変なことになってしまうケースでした。

今回のケースでは、3年目に居住用のマンションを買っても、調整対象固定資産の要件は充たさなそうだったのですが、今後追加で、居住用の物件を買っていくと、もしかしたら、要件を充たす可能性がありました。

要件を充たすと、以前に課税売上割合が95%以上で、取得した建物の消費税が全額控除が可能だった事業年度還付消費税を、来期以降に納付する必要がありますが、これが大変な金額になる可能性がありました。ざっくりですが、東京都内の事業用ビルの取得価額は土地が7割、ビルが3割だとすると、全体で10億円なら、建物は3億円、これにかかる消費税は2400万円になります。このうちの約50%の1200万円を将来、税務署からの還付を返還をしなくてはいけなくなるとすると、説明が足りなかったら、お客様には大変な損害になるし、個人事業の税理士としてもとても弁償出来る様な金額ではありません。コミニュケーション不足や税法の理解があいまいだと恐ろしいことになっていました。

この場合の対処方法としては、住居用のビルだけを取得・運用する容れ物としての住宅用会社を設立して、事業用のビルを所有する会社と分けるというのも一つの方法でしょうが、そうすると、逆に住宅用のビルにかかわる消費税の還付を受け取れなくなるので、どちらが有利かは将来にの事業プランにも影響される難しい判断と言えるでしょう。

また、この追加の消費税の支払いは、個別の物件の収益性を判断する時の計算には含まれていないことがほとんどだと思うので、収益性の判断を間違える可能性があります。

さらに別の問題として、この居住用マンションを買い、共通按分方式を選択すると当期は消費税の還付を受けることが出来ますが、当期から課税売上割合が95%を切り、また、一度共通按分方式を選択すると2年間は継続する必要があるので、次に2年以内に事業用マンションを買ったときに、個別対応方式が取れなくなるので、消費税の還付が100%全額は受けれなくなります。

事業判断が税金に大きく影響されるケースで、不動産投資では消費税の判断はすごく重要だということがわかりました。

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税理士をやっていると、多額の税金が絡むことをよく聞かれます。間違ってしまうと、クライアントにもろに金銭的な損害が発生してしまうので、損害を賠償するという話になります。相手が大きな会社やファンドだと、この損害の額が個人の財産ではとても払える金額では無くなってしまうことが十分にあり得ます。

税理士保険ももちろんあるのですが、個人の税理士と何十億の会社だと、財産的な基礎は対等ではないので、やはり、契約等で責任を限定することがとても大事だと思います。もちろん、クライアントの立場からはそれは困るということもあると思うので、きちんと責任を限定することを契約の際に説明するべきですが、それが受け入れられない場合は、最初から仕事をしないことが重要だと思います。

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